「とりあえず俺に愛されとけば?」





どうしたって、いまの私にこんな素敵なプレゼントは不釣り合いだ。



「佐倉さん、すみませんこれはお返しします」

「なに、気に入らなかった?」

「いえ、大好きなSAKURAのとても素敵な商品だと思います」

「なら、」

「だから、ダメなんです。せっかくいただいたものを返すのも失礼なことは分かってます」

「……じゃあ、そのまま」

「ダメです。だってそれ以上に私みたいに中途半端な奴がもらってしまったら失礼なんです。SAKURAにも佐倉さんにも」

「中途半端って、あの男がまだ好きだから?そんなのべつに気にすることないだろ」

「気にします!……だって佐倉さん泣いてる私に言ったじゃないですか、“本気で好きだから幸せを願いたい。でも、好きな気持ちはそんなすぐには消えない。適当な気持ちじゃなかったってことだろ”って」




自惚れかも知れないけれど、そんなことを言ってくれる人が適当に“初恋”なんて、きっと言ったりしないでしょ。



あの日、自分のことを覚えてさえいなかった私に、好きだと言ってくれたのは本気で思ってくれていたからでしょ。


だから“私のために作った”と言ってくれたこれを私は受け取れない。




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