「とりあえず俺に愛されとけば?」




帰りの電車の中で“なずなの花言葉”をスマホで検索してみた。するとーー。



口に運んだ親子丼を飲み込む。




「私、分からなくて、佐倉さんに分からないって答えたの」

「うん」

「でも気になってそのあとスマホで調べたら」




スプーンを置いて、スマホを取り出す。あの日と同じようになずなの花言葉を検索して画面を香澄に見せた。




「見てこれ」

「なになに?えーと、“なずなの花言葉、あなたに私の全てを捧げます”あれ?これって、この前もらってた香水の……」

「そーなの」

「え、なずなのためって、ん?なずなの花のこと?」

「私もそれがいまいちよく分からなくて……」




スマホの画面には、“なずなの花言葉、あなたに私の全てを捧げます”という検索結果。


それは佐倉さんが私のために作ったと言ってくれた香水の商品名だった。




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