「とりあえず俺に愛されとけば?」
小学1年生の私は自分の“なずな”という名前が花の名前であることをまだ知らなかった。
中学生になって、なずながぺんぺん草だということを知ったときは、衝撃的だったけど。
友達のさくらちゃんの名前が花の名前であることは、お花見に連れて行ってもらったときに『あのお花は桜って言うんだよ』と親に聞いたことがあったので知っていた。
だから桜がピンク色の可愛い花だということはもちろん知っていて、可愛いさくらちゃんにとても似合う花だと思っていた。
だから純粋に本人に伝えたことがある。
『さくらって、かわいいなまえでいーな』
『そーお?なずなもかわいいじゃん!』
『さくらのほーがかわいいよ!ピンクいろのお花』
ーーそうだ、さくらちゃんに聞かれたんだ。
テレビに映る佐倉さんをぼんやり見つめる。