「とりあえず俺に愛されとけば?」





《少し甘さのあるフローラルな香りで、とても素敵な名前のついた香水ですね。「あなたに私の全てを捧げます」》

《名前は花言葉からいただきまして、香りは桜をベースに作っています。大人の女性でもつけやすいよう、甘くなり過ぎない香りを意識しました。

また、僕のように片想いをしている男性が勇気を出して好意を寄せる女性へのプレゼントにしていただけたら嬉しいです》

《これをプレゼントされたら女性はとても嬉しいと思います!

SAKURAの新作香水は明日1月17日発売です。それではそろそろお時間となりましたので、この辺でお別れとなります。

佐倉社長本日はありがとうございました!最後になにか御座いましたら一言よろしくお願いします!》




女性アナウンサーからのフリに佐倉さんはにこりと微笑み会釈をする。



《こちらこそ本日はありがとうございました。このような機会をいただけてとても光栄でした。
明日は僕にとって特別な日です。皆様にとっても特別な日になりますように》 




そこで番組は終了した。
佐倉さんの素敵な笑顔を残して。




「てか、明日って、なずなの誕生日だよね?」

「……うん」




そうだ。香水の発売日ということは、私の誕生日でもある。




「え、絶対!なんかあるじゃん!」

「え、なにが?」

「なにがじゃないよ!明日は香水の発売日で、なずなの誕生日!わざわざテレビで自分の初恋さらけ出した人がなにも行動してこないとは思えない!」




また香澄の得意な妄想が大爆発している。
けれどそんなことを言われたら私だって変に緊張してしまうわけで。まだなにかあると決まったわけでもないのに。



< 94 / 110 >

この作品をシェア

pagetop