「とりあえず俺に愛されとけば?」
「18年」
「え、」
「18年、待った」
「……」
「というか、18年かかった」
それだけ言うと、なにも言わずに黙りなまま足を進める。
私から聞いたくせに思っていた答えと違うものを返され、なんて返したらいいのか分からず、私も言葉を失った。
けれど、熱を共有する絡んだ指先はそのまま。
しばらく歩いてたどり着いた場所は、イルミネーションの見えるビルだった。
都内でこんな場所は珍しい。私たち以外の人はほんの数名だけ。
黙りだった佐倉さんは「穴場だろ」と言って一面ガラス張りの前にあるソファに私を案内する。
なんてオシャレな空間なんだろう。広いエントランス。窓に向かって等間隔に並べられたソファ。そこに座ると、目の前にはイルミネーションの施されたオシャレな庭が広がる。