俺だけの特権


***



.....る、......る、......ねる



聞き心地のいい、
優しくて、柔らかい声が聞こえて。



「............ん、」



ゆっくりと瞼を開けると、
視界いっぱいに映るのはちーくんの顔。



「ねる。気がついた?」



そう言って、
顔を覗き込んでくるちーくんだけど.........



「.....................今日は帰って、」



くるりと背中を向けて、
視線を合わせずにそう言った私。



でも....................................



「ねる。今日は泊まるわ」



いま、私は〝帰って〟と言ったハズなのに。


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