俺だけの特権
「...............っ、ここでその顔はやばい、」
困ったような顔をしてそう言うちーくん。
「ちーくん?」
〝なんで答えてくれないの?〟
って顔で名前を呼ぶと。
「ねるも会ったことあるけど、
あの女の子、俺のイトコの沙夜だよ」
思い出したような顔をしてから、
素直にそう答えてくれたちーくん。
「沙夜さん............かぁ、」
ちーくんのイトコ、
藤原沙夜さん。
ちーくんの1つ上の高校3年生。
私も何度か会ったことあるけど、
凄く美人で、ちーくんと仲良くしてる人。
女の子が、沙夜さんってことに。
安心した気持ちと、反対に、
モヤモヤした気持ちが広がった気がして。