寝ても覚めても、離してやんない
❀1


 カリカリ。ペンの音が走っている。

 わたしは読んでたマンガを閉じて、机に向かう背中に目を向けた。



(だん)~、終わった?」

「まだ」

「遅いなあ」



 文句をこぼし、うつ伏せになったベッドの上でパタパタと足を動かす。


 暖は、幼なじみ。生まれながらのお隣さん。

 あと、わたしの召し使い。



「今日ね、告白された」

「……」

「でも暖じゃなかったから断ったよ」



 返事は来ない。

 けど暖の気持ちなんて手に取るようにわかる。


 めちゃめちゃ喜んでるよね。

 証拠に、後ろから見ても耳が真っ赤。わかりやすくて安心する。


 暖はたぶん、わたしのことが好き。

 そんでもって、わたしも暖が大好きだ。



「ね~、早くしてよ」

「……もうちょっと待ってろ」


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