寝ても覚めても、離してやんない
暖離れをしろって、言われてしまった。
わたしだって、この不眠症の原因に気付いてないわけじゃないけど……。
依存してるんじゃなくて、好きだから……一緒にいたいだけなのに。
「いつも以上にぼんやりだね、くみん」
ぽんと肩に手を置かれる。
友達のニッシー。恋愛相談検定一級保持者の女だ。
「暖に、今のままじゃ付き合えないって言われた」
「ええっ、まだ付き合ってなかったんだ」
「ね。いっそ既成事実でも作ってやろうか」
「くみんって意外と行動派だよね」
暖は、不眠症より責任を取ることを優先してくれそうだからね。
「でもそう言われる理由があるんでしょ、くみんに」
「……ニッシーは暖の味方するんだ」
唇を尖らせて問う。彼女は苦笑を浮かべた。