寝ても覚めても、離してやんない



「まっすぐ家帰んの」

「うん。そうしてほしいんじゃないの?」

「いや……、まぁ、そうだな」



 そのためにわたしがすべきことは、自宅で過ごす時間を増やすことだった。

 いつもは学校から帰って暖の家に直行していたのを、やめてみる。

 暖からそれを願ったというのに、反応に驚きを滲み出すなんて。

 卑怯なやつめ。


 家の前で別れ、暖に背中を向ける。



「じゃーね、また明日」

「明日って……今日は来ねーの」

「一人で寝なきゃじゃん」

「……」



 腕を少しだけ引いて、暖はわたしを振り向かせた。

 わたしがせっかく頑張ろうとしてるのにさ。

 そんな悲しそうな顔されたくないんだけど。



「……辛くなったらすぐ言えよ」



 一瞬、温もりに包まれたかと思ったら。

 気がついたときには暖は家の中に消えていた。


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