寝ても覚めても、離してやんない


 もう充分待った。

 わたし、そんなに我慢強くないってこと知ってるよね?



「ほら、終わったから」

「いぇい、早く来て来て」

「ったく……」



 暖がベッドに乗り出す。

 わたしの隣に寝転んだかと思えば、あっという間に包まれた。

 暖の匂いだ……。



「さっさと寝ろ」

「寝込み襲ってきたりする?」

「しねーよ、あほ」



 足を蹴られた。

 してもいいよってサインなのに、気付かないなあ。

 気付いてたとしても、暖はしないか。


 暖はポン、ポンって一定の間隔でわたしの背中を柔らかく叩き始める。

 子供の寝かしつけとおんなじだ。


 学校から帰って来て、暖が宿題を終わらせてから。

 わたしの家族が呼びに来るまでの間。


 わたしは、暖の家で足りない睡眠時間を補っている。


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