寝ても覚めても、離してやんない
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「だーん、だめ」
「……起きてたのかよ」
ベッドからすり抜けようとする暖を引き留める。
今日は睡眠よりも暖と一緒にいる方が重要だから、狸寝入りをかましてみた。
「なんですぐどっか行こうとするの」
「……、あのなあ。気まずいんだよ、こっちは」
「気まずいって、なに」
「くみんの妹に一緒に寝てるとこ見られんの。向こうも気を遣うだろ」
「見せつけちゃえばいいのに」
すり、と暖の胸に頬を寄せる。
暖はわたしのこと好きなくせに、他人にそう思われるのは嫌なんだね。
わたしは、暖を一刻も早く自分のものにしたいって焦ってる。
『暖さん、良い人だね』
って、妹の何気ない言葉でさえ嫌なんだ。