寝ても覚めても、離してやんない
暖は小さくため息を吐いて、わたしの背中を叩いた。
嫌だ。今日は眠らない。意地でも起きててやる。
「時間なくなるぞ」
「いい。今日はオール」
「ふざけんな」
ふざけてなんてない。
わたしの幸せは、暖にしか作れないの。
暖がいなきゃだめなの。
睡眠なんかより、暖がいてくれることの方が大事。
「……一緒に寝るって、約束してよ」
ぎゅうっと強めに体をくっつける。
「おねがい……」
不眠症のことを暖に打ち明けて、暖のベッドでなら寝れるって話したとき、暖は言ったよね。
『そういうの……俺だけにしとけよ』
暖から、他の選択肢をなくしたくせに。
最後まで責任取らないなんて最低だよ。
「……ん」
返事なのか、身動いたときに出た声なのかわからない。
ただ静かに、暖はわたしを抱き締めた。