寝ても覚めても、離してやんない
――お互いに抱き合った姿のまま起きたのは初めてだった。
暖は安らかな寝息を立ててわたしを抱き枕にしている。
日の沈み方を見るに、まだ夕飯の時間にはなっていなさそうだ。
暖はわたしの寝込みを襲わない。
襲うのは、わたしだもんね。
わたしは迷うことなく暖の唇に向かい、そっと口づけを落とした。
全然初めてじゃない。暖が無防備に寝顔を晒すから、我慢できないだけなんだ。
暖からされないんだったら、わたしからするしかないじゃんね。
「ん、っ……ちゅ……むぐっ」
突然口を手で押さえられる。
目の前では、顔を真っ赤に完熟させた据え膳くんが悔しそうに顔を歪ませていた。
「……勝手に人のこと襲ってんじゃねぇ」
「ばれちゃったか」
あーあ。わたしのお楽しみタイムが。