寝ても覚めても、離してやんない



「っくそ……やられた」

「なんで唇擦っちゃうの。汚いみたいじゃん」



 ギロリと睨まれてしまう。

 怒ってるの?



「いーじゃん。嫌じゃないでしょ?」



 わたし達、両想いなのなんとなく察してるのに。

 お付き合いしましょう、って正式に言葉を交わさないとだめだった?



「……だろ、」

「え?」



 なんて言ったの?



「ロマンチックじゃねぇだろ、こんなキス……っ」



 ……ロマン、チック?

 暖が大事にしてることは、それ?



「ぷっ」



 ほら、わたしって我慢強くないからさ。

 一瞬堪えようとしたけど、体が自然に吹き出しちゃうの。



「……笑ってんじゃねえ」

「ぷぷ、ならどんなキスがロマンチック? してみせてよ」



 暖の首に腕を回す。

 ぐっと距離を縮めると、また大きな手がわたしの口を塞いだ。


< 8 / 34 >

この作品をシェア

pagetop