寝ても覚めても、離してやんない


 しないんだ?

 せっかくお膳立てしてあげたのになあ。



「暖からしてほしいだけなのに……」



 わざとらしく肩を落としてみせる。

 いつまでも意地張られてちゃ困るもん。

 そろそろ暖と恋人になりたいんだよ。この微妙な距離の正体はなんだっていうの?


 伝わってるはずなのに、暖は目を逸らした。



「それは……っ、くみんの不眠症が治ったら」

「治ったら? するの?」

「……する」

「じゃーいま治った」

「おまえなあ……」



 キスはできないのに、腕に閉じ込めることだけはやり慣れてる。


 
「本当に治ったら――めちゃくちゃにしてやる」

「!」

「だから、今は寝ることだけ考えとけ」



 めちゃくちゃって……どんな?


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