野いちご学園 逆ハーアイドル寮
目の前から飛んできた、落ち着きのある声。
顔を覆う袖の隙間から、私は直月君をチラ見してみた。
まだ何か物申したそうな顔で斜め上からい睨まれたせいで、ひゃい!と肩が跳ねる。
どんなふうに、彼に返事をしていいかわらかない。
小2の頃は、無邪気に話しかけていたけれど。
私との馴れ馴れしい会話は、求められていないような気がするし……
心の声を言葉にする勇気が欲しい。
耳上で前髪を留めているドクロのピンを、指でこすってみる。
頑張れ、私。
「もっ……もう……行っても…いい…ですか?」
同級生なのに幼なじみなのに敬語が飛び出しちゃったのは、直月君とのコミュニケーションの取り方の正解がわからないから。