野いちご学園 逆ハーアイドル寮
本当に大好きだったな、絢人先生のこと。
高校に入学して、教室でひとりボッチが辛くて、必死に淋しさを押し殺していた時
「私と一緒に、歌を歌いませんか?」
先生だけが、私に優しく話しかけてくれた。
この学園に私の居場所を作ってくれて、高校に毎日休まずに行きたいと思わせてくれた。
もちろんわかっていたよ。
根暗な私なんかが、先生に選ばれるはずないって。
ふられてもしょうがないって、頭では理解していたはずなのに……
やっぱり辛いんだ。
大好きな人が、別の人に笑いかけているところを瞳に映してしまうのは。
涙が止まらない。
イチョウの木の下で、マドンナと楽しそうにおしゃべりをしている姿を見れば見るほど、心臓が痛みだして涙が製造されてしまう。