野いちご学園 逆ハーアイドル寮


体中の勇気をかき集め、私から誰かに話しかけてみたとします。

2、3こ単語が飛び交い、その後はシーン。

無音になるでしょう。



何を話していいかわからなくなって。

早く会話をしなきゃと焦れば焦るほど、頭が真っ白になって。

無言という気まずい空気に耐えられなくなった私は、その場を逃げ出しちゃうと思うんです。



他人に拒絶されるのが怖い私。

それなら『人と関わらなければいい』と思って生きてきました。



心の守り方を、ちゃんとわかっていたはずなのに……

教室では、ひとりぼっちを実践していたのに……



なんで私は、絢人(あやと)先生だけには心を開いてしまったんでしょう?

浮かれすぎて、告白までしてしまって。




絢人先生に、近づかなければよかった。


野いちご学園なんかに、通わなきゃよかった。


そうすれば心臓ががえぐられるほど辛い失恋なんて、経験することもなかったのに。







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