野いちご学園 逆ハーアイドル寮


「俺、近くにひーちゃんがいてくれないと、歌もダンスも頑張れないし」



環くん、私は客席にいますから。

4色8本のペンライトを左右の指の間に挟んで、心の底から応援をしますから。



王子様たちの言葉を聞いて、稲森さんはまだ納得ができないらしい。


「花園さんより私の方が、ステージ慣れしています。私はマイクで話すのも得意なんです」


身を乗り出すように4人に迫っている。



「曲に込めた思いを語れるのは、姫歌ちゃんだけだ。稲森さんに彼女の変わりはできない。諦めてくれ」



直月くんまで、人前が苦手な私をステージに立たせるつもり?


幼稚園の3年間、お遊戯会でセリフも言わずに黙り込んでいた私のことを忘れちゃった?

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