野いちご学園 逆ハーアイドル寮


悪代官みたいに悪っぽくニヤつく環と帷に、挟まれた直月は


「僕の長年の想いを、灰にするな!」


大事そうに段ボールを抱えながら、交互に二人を睨みつけている。




じゃ次は、俺の番か。



俺からのクリスマスプレゼントは……



「姫歌、目をつぶって」


「えっと、立ったままでいいですか?」


「ああ」




瞳を閉じる姫歌を目の前で見下ろしながら、祈らせて欲しい。




俺色の真っ赤な光が、姫歌の心を一生照らし続けますようにと。






「目を開けていいよ」


「これって……」


「びっくりした?」


「総長さまが、手に持っているものって……」


「これが俺から姫歌への、クリスマスプレゼントだ」




「ペンライト……ですよね?」




なぜクリスマスプレゼントに、真っ赤に光るペンライトなの?


そう言いたげな顔で、俺を見上げている姫歌。




――俺の思いが伝わりますように。



ワイルドで柔らかい声を、俺は精一杯、優しく奏でる。

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