野いちご学園 逆ハーアイドル寮
フッと口元を緩めて、拾ったボールペンを胸ポケットにひっかけた総長様は
「まぁ、ボールペンを髪留め代わりにするには、無理があったかぁ。ウザすぎるくらい長い前髪は、これでとめておけ」
総長様は自分の襟にくっついていたピンを手に取ると
「5歳の妹がいるんだ。あいつの髪、毎朝俺が縛ってる。ほら、今朝の朝湖と同じ前髪」
私の長い前髪を、斜めに流すように編みこんで
「これネクタイピンだけど、髪も留められるから」
親指の爪サイズのドクロがついたピンで、私の前髪をとめてくれました。
本当は言いたいです。
長い前髪で、今すぐ自分の瞳を隠したい!って。
視界を遮るのは、コミュ障の私なりの心の守り方でもあるし。
でも、言葉にはできないな。
だって、わざわざ私の髪を編み込みまでしてくれたうえに
「可愛いじゃん、でかい垂れ目。隠してるのがもったいないって、自分で気づけよバーカ!」
女嫌いで有名な総長が、私のおでこを人差し指で押しながら、ニヒヒと笑ってくれたから。