野いちご学園 逆ハーアイドル寮
――朝の6時になりました。
今日こそは、朝ごはんを作らなきゃ!
制服に着替え、シャツの上から灰色のエプロンを装着した私。
自分の部屋を出て、階段を降りる。
寮の中では、私の長い前髪はどんな状態なのかって?
もちろん、おろしたままですよ。
私は、人と目を合わせるのが苦手なんです。
できる限り他人と距離を取りたい、コミュ障JK。
瞳を隠していないと、総長様と環くんと一緒の空間なんて、居続けられないですから。
リビングドアの前に着いた。
存在を消し、少しだけドアを開ける。
覗いた戸の隙間から見えるのは、だだっ広いリビング・ダイニング・キッチンで。
お年寄りが暮らしていたとは思えないほど、洋風チックで洗練されていて。
大理石の床はピカっピカ。
地震で落ちてきたら大惨事になりそうなほど豪華なシャンデリアが、大きな窓から入り込む朝日で煌めいている。