野いちご学園 逆ハーアイドル寮


キッチンの前に立ったまま浮かべてくれたのは、ワルめいた笑顔。



『総長様の方が、お早いじゃないですか』なんて、気軽に会話を続けられたらいいのですが。

心の声を言葉にできないコミュ障の私は、口をピッタリ閉じて黙りこむのみ。



「昨日遅くまで、曲作ってくれてたんじゃないの? まだ寝てればいいのに」



そっ、それはダメです。

総長様に、全ての家事をお任せするなんて。



「てっ、、、ててっ……手伝います……」


「またそれ? 家事は一切やらなくていいって、寮に来た初日に言ったはずだけど」


「でも……」


「部屋に戻って二度寝してこい。総長様命令だ」



……っ、さすがにそれは。



「遠慮はするな。二度寝は気持ちいいぞ。朝食が全部できたら、姫歌の部屋に起こしに行ってやるから、なっ」



「……」

< 59 / 290 >

この作品をシェア

pagetop