野いちご学園 逆ハーアイドル寮
なんでこの総長様は、こんなにも優しいんだろう?
真っ白な歯を煌めかせながら、私に向かってさわやかにニコって。
冷たい目で女性を拒絶する総長様を学園内で見たことがあるだけに、普段とのギャップに心臓が跳ね上がっちゃいます。
なぜか私の心臓が、ドキドキドキ。
脈も浮かれるように、ドクドクドックン。
心がざわつくときの対処法は、これしかなくて。
前髪をめいっぱい顔の前に集めた私は、長い前髪で自分の瞳を隠しきるようにカサカサカサっと手を動かす。
皆さま、お気づきでしょうか?
寮に住み始めたこの3日間で、総長が私のことを『姫歌』と呼ぶようになりました。
私はまだ慣れていません。
自分の名前が、色気まじりな低音ボイスで奏でられることに。
名前を呼ばれるたびに、ハートがくすぐったく疼てしまいます。