野いちご学園 逆ハーアイドル寮
「あっ、そういえば。生徒会長の東条くんが、作曲できる人を探していました」
……絢人先生に放課後会えないなら、学校に来る意味がなくなっちゃったなぁ。
「私は花園さんを推薦しておきました。あなたはしっとりとしたバラードから、ビートが駆けるアップテンポな曲まで作ることができます。東条くんはこだわりが強いですし。彼が満足する曲を、作ってあげたらどうですか?」
……病気並みに酷すぎるコミュ障、何とかしなきゃだよね。
私は教室の自分の席に座っているだけでも、淋しくて心が折れそうになる。
瞳が隠れるほどの長い前髪で視界を遮り、クラスメイトの笑い声が聞こえてこないように、ゴツいヘッドフォンを耳に当て音楽を聴いているけれど。
それでも教室でひとりボッチは寂しくて。
学校に来るのが限界なんだ。
今夜、お母さんに言ってみようかな。
登校日数が少なく自宅学習が多めの高校に、転校させて欲しいって。
「聞いてますか、花園さん」