野いちご学園 逆ハーアイドル寮

バスの揺れで眠るのが大好きな、きまぐれ猫系の環くん。

学園前のバス停に着く直前は、いつも夢の中。

美少女顔の王子様に声をかけたい女子がたくさんいらっしゃるおかげで、誰かしらが起こしてくれるそうです。



そして私は、環くんが乗る一本前のバスに乗って学園に行っています。



さてさて。



ブカブカな総長様のブレザーを着て、バスに乗り込んだ私。

バスの中をキョロキョロキョロ。

同じ制服の子がいないことに、ほっと胸をなでおろす。



こんにちは状態の瞳に、長すぎる袖先を当て暗闇を作っていると……



あっという間に、バスが到着してしまいました。


『野いちご学園高等部』の真ん前に。




――バスから降りたくないなぁ。



座席から腰を上げる私ののろさは、カメさん級。



――地縛霊みたいに前髪で目を隠していた私が、前髪を斜めに編みこんで学校に来るなんて。クラスメイトになんて思われちゃうんだろう?



バスの精算機にカードを押し当てながら、こみあげてくる苦い胃液を喉の奥に押し戻した。


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