野いちご学園 逆ハーアイドル寮

昇降口までの間にはいつも、仁王立ちの風紀委員さんが目を光らせている。

校則違反者がいないかどうかの、朝チェック。



私は校則違反なんてしない。

校則を破る度胸がないと言った方が正しいかな?

怒られるのが極端に怖くて。



だから今日も大丈夫。

風紀委員さんに注意されることは、何一つないはずだから。



……と、安心しきっていたのに。



袖で完全に自分の顔を隠していたのが、怪しすぎたのでしょうか?



サササと前を通り過ぎていた時


「ちょっと待て」


風紀委員の腕章をつけた低い声の主に、腕を掴まれてしまいました。




ひぃえぇぇぇぇ……



今日の私は、特に目立ちたくないんです。

勘弁してください。見逃してください。



ブルブルと震えが止まらない私の上半身。

顔を完全に隠していた袖を少しだけ下げ、瞳を上半分だけさらす。

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