美形なら、どんなクズカスでも許されるの?〜いや、本当ムリだから!調子乗んなって話だよ!!〜
フジと陽毬が泣きすぎて目は腫れ、鼻や頬顎まで真っ赤になっていたので、このままの姿ではとてもじゃないが人前に出られない。
なので腫れが引くまで四人はその間、色んな話をした。

もちろん、人に見られないような場所に隠れてヒソヒソ声で。
人に見つからないか、声は聞こえてないだろうかと、ちょっとしたスパイの気持ちでドキドキする。

そこで、陽毬は大樹の“裏の顔”を話し、自分は大樹達の悪い遊びのターゲットになっている事を打ち明けた。

本当はお前の悪行は知ってる!騙されないぞ!って言ってやりたいのは山々だが、身分が違い過ぎるので大樹の気分を害さないように騙されたフリをしている事。

その事で腹の底からイライラ、ムカムカして、
心の中ではいつも、ボッコボコにして張り倒してギャフンと言わせてやりたい気持ちでいっぱいな事。

…なのに、デートや電話やメールが始まり最初こそ、“思ってもない事をよくも、まあペラペラと言うよ”と、騙してる事なんて知ってるから余裕だと思っていたのに…。数ヶ月続くと、分かってるつもりでも段々と絆されていき…いつの間にか、好きになってしまった。

騙されてるぞ!しっかりしろ!と、自分を叱咤し、これは恋じゃない!自分は、あんなドクズ好きになんてなってないと、いくら否定しても好きは好きだった。…凄く凄く、悔しい!

と、自分の胸の内を話した。


「…そうだったんでヤスか。大樹君は、真白さんへの気持ちを紛らわそうと、そんな危険な事を。そして、周りの人達にそんな恐ろしい事をしていたなんて…正直、ショックでヤス。
何より、小さい頃からの幼なじみな自分が、大樹君の苦悩と苦しみに気付いてあげられなかった事。そんな中、のうのうとしていた自分が愚かで情け無い!」

ウダツは陽毬の話を聞き多大なショックを受けただろうが、それをグッと我慢していた。
そして、大樹の気持ちに気付けなかった自分を責めた。

「大樹君の被害にあった人達には、本当に申し訳無さすぎる。陽毬さん、大樹君に代わってオイラに謝らせてほしいでヤス。
オイラの幼なじみの大樹君が、本当に申し訳ない事をしたでヤス!謝って済む話じゃない事は重々承知でヤスが…謝らずにはいられない。
どんな理由であれ、大樹君のした事はとても許されるものではないでヤス。」

ウダツは自分が悪い事をしていないのに、自分の幼なじみだから。キッカケは自分のせいだからと陽毬に深々と頭を下げた。

「…い、イヤイヤイヤ!ウダツさんは、全然悪くないでありますよ!悪いのは、大樹様であります。ウダツさんが謝る必要なんて一ミクロンもないであります。」

頭を下げるウダツに、陽毬は慌ててウダツに頭を上げるようお願いした。そこに


「本当よ!なんで、幼なじみだからってあなたが頭を下げるの?おかしいわ。それに…
もし、大樹様が自分の愚行をウダツさんのせいにしていたとしたら、それこそ大樹の人間性を疑うわ。それは、最低な人間のする事よ。
もう、すでに最低最悪だけど。」

と、プンスコプンスコ怒っているフジが言ってきた。それを聞いて

「……なんだか、フジ嬢の印象が全然違うんだけど。」

なんて、驚いた表情で大地はフジを見てきた。

「……?なに?気持ち悪いわね。」

大地が驚いた様子でフジをジッと見てくるものだから、フジはたじろいで大地から少し距離を取った。

「今までさ。フジ嬢は、傲慢で我が儘な自己中だとばかり思っててさ。正直関わり合いたくないなぁ〜って思ってたぜ。色々あって偶然にも関わってしまったわけだけどさ。けど、実際関わってみたら全然イメージと違っててすっごい驚いてる。
ウダツも言ってたけど、とても優しい人だって感じた。傲慢で口はすこぶる悪いけど、裏表ない真っ直ぐな人だって好感を持ったぜ。」

なんて、ニッと笑ってきた。

まさか、褒められるとは思ってなかったフジは顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。そして、どんな反応を返せば分からなくて

両手で小さな顔を覆い

「…な、なによぉ〜〜〜!馬鹿!!」

なんて、よく分からない抵抗をして見せた。

「フジさんって、本当に可愛い女性でヤスね。」

そこに、追い討ちでウダツもフジを褒めるものだから

「…もう、もうぅぅ〜〜〜っっっ!!!」

意味不明なうめきしか出てこなくなった。

…めちゃくちゃ、可愛い…!

そのフジの反応に、陽毬やウダツ、大地はそう思った。普段とのギャップがありすぎて、思わずキュンとしてしまった3人だ。

きっと、容姿や上辺だけの賞賛しかされた事がなく、中身を褒められた事なんてなかったのだろう。フジは、もうどうしたらいいのかとグルグルしていた。

陽毬は思った。

…うん、可愛い!

フジさんって、こんなに可愛い人だなんて知らなかったであります。

ただただ、怖くて威圧的なだけの人だと勘違いしておりましたぞ。

…………う〜ん…?

何か、しっくりきませぬな。

…今までは、そうだった?

けど、ここにきてフジさんが変わり始めてる?……っっっ!!?

それであります!!!

それが、しっくりきますぞ。

と、陽毬はフジの心の変化に気付きうむうむ頷いていた。


「それにしても、こんないい男を蔑ろにするなんて真白は馬鹿ね。世界一の大馬鹿よ!
こんな素敵な男性は世界中、何処を探したって居ないんだから!真白は、本当に勿体ない事をしたわ。後で後悔したって遅いんだから!」

なんて言うフジを、みんなキョトンとした顔をして見ていたし、フジ自身も…あれ???と、違和感を感じていた。自分で言って首を傾げている。

そうしている内にも、フジと陽毬の目の腫れも引き会場に戻って行った。

会場へと戻ると、大樹と真白がフジ達に気づき近づいてきた。

…理由は知っているが、二人を纏う雰囲気が前とは全然違う。まるで、恋人同士のような甘酸っぱい甘さがある。


「…良かった!どこに行ってたのかと心配していたよ。」

大樹は、あたかも幼なじみであるウダツをとても心配しているように、少し急足でウダツの前に立った。そして、真剣な顔をしてフジを見ると

「いつも、少し我が儘が過ぎると思っていたけど、それでも場の雰囲気を壊さないようにと目を瞑っていた。
だけど、今回のフジ嬢の行動は行き過ぎだよ。
そのせいで、僕達はありもしない事実でみんなを誤解させる所だったんだ。周りに多大な迷惑をかけたんだ。僕の事はいい。ただ、大きな被害を被ったウダツや真白に謝ってほしい。」

と、フジを咎めてきた。しかし


「あら?何故、私が謝るの?」

フジは、腕組みをし高圧的な態度で大樹に返してきた。その態度の悪さに、周りはヒソヒソとフジを悪く言う声が上がり始めた。

「大丈夫だから。私達の為に、大樹が嫌な思いをする必要はないわ。」

すかさず、真白は大樹を庇うような言葉をかける。

これじゃ、フジだけが悪者で大樹と真白はヒーローとヒロインに見える。

あちゃー…と、頭を抱える陽毬と大地。

フジ…不器用過ぎか!!

いや、その前に我慢が効かなかっただけか。

やっちゃったぁ〜。どうしよう、この人。と、ゲンナリした溜め息をはく陽毬と大地。

どうしようもなくなった雰囲気に

「フジさんは素直で正直な女性だから、自分が納得できないと謝れないだけでヤスよ。」

と、柔らかい雰囲気でウダツが話に加わってきた。

「誰だって、自分が悪い事をしたと思っていないのに謝る事はできないでヤスよね?それだけの話でヤス。
大樹君の話にフジさんが納得できたらフジさんは誠心誠意謝る事のできる人でヤス。もし、フジさんを謝らせたいのなら、フジさんが納得できる話をしないといけないでヤス。」

ウダツの話を聞いて、周りも“ああ、なるほど”と、納得している。これは、ウダツの特大の人望の賜物である。

「だけど、ウダツだって、フジ嬢の勘違いした発言で気分を悪くしただろ?
ウダツが優しいのは知ってるけど、悪い事は悪いと言える事も優しさだと思うよ?ただ、相手を庇うだけが優しさじゃない。」

大樹は、どうしてフジを庇うような話をするんだと不思議そうに聞いてきた。

すると、ウダツは一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべ、すぐにいつものほんわか笑顔で

「フジさんは、裏表がなくてとても優しい人でヤス。だけど、あまりに真っ直ぐ過ぎて誤解されてしまう所があるでヤスよ。
もし、それで気分を悪くしたというなら、二人にオイラが謝るでヤス。」

そう言って、大樹と真白に頭を下げるウダツに二人は顔を見合わせ困ったような顔をすると

「…自分達は、色々と話し合わなければならないようだね。…早いうちがいいと思っていたし丁度いい機会だ。ウダツ、静かな場所へ移動しよう。君に話さなければならない事があるんだ。」

大樹はそう言って、あまり人のいない庭園に移動しようと言ってきた。その提案に、ウダツは頷き真白は不安そうに大樹を見ている。

そして、3人が移動しようと歩き始めると当然のようにフジがついて来ようとして、それを大地と陽毬は慌てて止めた。

「な、なによ!?私だって関わってるんだから話し合いに参加するべきよ!
2対1なんて卑怯よ!私も加わって2対2になるべきだわ!…二人のせいでウダツさんの心が折れかかった時、一体誰が彼の心を支えるのよ!!」

と、叫ぶフジに、ウダツは時が止まった様な感覚に陥った。そして、後ろを振り返ると綺麗に整えた髪もドレスも乱れてもなりふり構わずウダツを追いかけて来ようとするフジの姿があった。

その姿に、ウダツの心は強く打たれ心がじんわりと温かく満たされる気持ちで溢れた。

「大丈夫でヤスよ。オイラは、たくさんたくさん、フジさんに勇気をもらったでヤス。ちょっとやそっとじゃ折れないでヤスよ。ありがとう。」

と、言って行ってしまった。

「……ウダツさん……」

泣きそうな顔をしながら、ウダツの後ろ姿を眺めるフジに

「大丈夫だ。アイツは、スッゲー奴なんだ。あんな奴らには負けねーよ。ただ、戻って来た時には、いくら強靭なハートを持ってるウダツでも弱りきってると思うから、その時はよろしく、な?」

大地はフジにそうお願いしてきた。

そして、陽毬も…

大樹達が、陽毬達の横を通り過ぎる時

「…ごめん…」

陽毬にしか聞こえない声で謝ったのだ。

何が“ごめん”だ!!

ごめんで、何でも済まされるって思ってるのか!?

このドブカスヤローーーッッ!!!

大っ嫌いだ!!くたばれ、ドクズ!

陽毬は心の中で、そう叫び…泣いた。

そんな陽毬に気付いたフジは慌てて、陽毬に駆け寄り陽毬にハンカチを貸し声を掛けている。

その様子を見ていた周りは困惑した。

完璧かつ人望ある大樹と真白。だが、何だか様子がおかしい。

二人があんなに批判していたフジは、泣いてる令嬢にハンカチを貸し声まで掛けている。しかも、人望の厚い大地も二人を慰めるような素振りをしている。

もしかしたら、自分達は何か大きな勘違いをしているんじゃないのかと考え改めていた。

容姿や能力を抜きにして、信じられるといえばウダツが断トツだ。そのウダツが擁護するフジ。

フジの傲慢な態度が邪魔して分かりづらくあるが、言っている意味とウダツを助けようと躍起になっている姿から

どうも、フジが悪いように思えなくなってきた。だからといって、人望のある大樹と真白を疑うのも躊躇われる。

成り行きを見守るしかないだろうと判断し、周りの人達はいつも通り社交の場を楽しむ事にした。何より、意味が分からない状況だ。
それに所詮は他人事なので、これ以上考える事が面倒でシャットアウトしただけなのだが。

これが想像や妄想がつきやすかったら、好き勝手に言って、いい噂のネタにできるのだが何せ意味不明な状態だ。
面白いネタは好きだが、意味が分からないからつまらない。だから、いつも通り社交の場を楽しんだ方がお得なのだ。


---一方、中庭に来たウダツ達はというと---


「本当に、フジ嬢はお騒がせだよね。困った人だよ。」

大樹は心底疲れたと言った風に溜め息をついて見せた。

「大樹の機転が効かなかったら、私達はありもしない噂の的になっていたわ。それに、そのせいで私達の評価も地に落ちていたかもしれない。それを分かって、フジ様はあんな事を言ってきたの?
場所を弁えるべきだし、もっと考えて行動するべきだわ。」

二人はフジの行動について、自分達の評判が落ちるととてもご立腹の様だった。

そこはウダツは苦笑いするしかない。

確かに場所を弁えるべきだったのは違いない。話の内容が内容だけに、人が居ない様な場所に移動して話すべきだった。

ただ、フジは自分の友達の為に怒ってくれたのだ。そして、大樹の愚行を知りフジの正義感がそれを許さなかった。
やり方はどうかと思うし、行き過ぎな行動とは思うが決してフジは悪くないとウダツは考えている。

むしろ、フジが行動してくれたお陰で、大樹達は本当に好きなもの同士結ばれる事ができたし、自分が気付く事もできなかった大樹の愚行とそれに至った経緯と理由を知る事ができた。

二人にとっては悪者でも、ウダツにとっては救世主か勇者のように思う。感謝しかない。


「話したい事ってなんでヤスか?」

これ以上、フジの悪口を聞いてられなくてウダツは本題に切り替えた。

本当はここで、フジはそんな人じゃないと抗議しいのをグッと我慢した。今の状態で下手にフジを庇いだてしてしまったら、在らぬ方向で揉め事の種が生まれてしまうと考えたからだ。

すると、大樹と真白は顔を見合わせ、少し気まずそうにしていた。そして

「大丈夫。ここは、僕が話すよ。」

「…で、でも…」

「大丈夫だから任せて?」

と、いう二人のやり取りがあった後、大樹は不安そうにしている真白の腰を抱き寄せ真剣な表情でウダツを見てきた。

そして、ガバッと頭を下げると


「ウダツ、ごめん!俺達、付き合う事になったんだ。」

と、恋人になった報告とウダツから真白を奪ってしまった事への謝罪をした。

大樹の行動に真白は慌てて

「違うの!悪いのは私なの。本当は、小さい頃から大樹が好きだった。だけど、手の届かない存在だと諦めてたの。
そんな時に、ウダツが私に告白をしてきて…幼なじみである私達の仲に亀裂が入る事を恐れた私は……」

と、美しく大粒の涙を流しながら悲痛な表情でウダツに説明してきた。

静かに涙を流す真白を見て


ああ、どうしてでヤスかね?

真白さんの涙を見ても何一つ心が動かない。

フジさんの涙には、あんなにも心が突き動かされたというのに。

それに、美しく泣く真白さんの涙より、綺麗な顔も台無しなくらい顔中グシャグシャにして大泣きして暴れていたフジさんの涙の方がずっとずっと綺麗だと感じてしまった。

と、ウダツは荒ぶるフジの姿を思い出し、少しクスッと笑うと真白が最後まで言い切る前に


「両思いの二人が恋人同士になれて、オイラはとても嬉しいでヤス。おめでとう。」

とびきりの笑顔で二人を祝福してきた。

それに対し、二人は酷く驚いた顔をして

「……大丈夫か?ウダツ、ショックのあまり頭がついてこれてないんじゃないのか?」

大樹はウダツを心配した言葉を掛け動揺している。真白も、ショックでおかしくなったであろうウダツに、どう声を掛けたらいいのかオロオロしている。


「オイラも二人にごめんなさいでヤス!」

今度は、何故かウダツが二人に頭を下げてきた。それに驚いた二人は

「…ちょっ…本当に、おかしくなっちゃったの?ごめんなさい。…私のせいだわ…」

「…ウダツ…」

ウダツは、本当に本当に真白を大切にしていた。それを知ってる二人だから、今さらになって自分達はなんて事をしてしまったのだろう。
優しいウダツなら、なんでも優しく受け止めて許してくれる。

そう思って、早いうちがいいと自分達が恋人になった事を報告したのだが…。

普通に考えて、今現在ウダツと真白は付き合ってる状態なのだ。つまり、理由や事情がなんであれ、大樹と真白は浮気をしている報告をしたという最低な事をしてしまっている状態。

付き合えた事が嬉しくて、舞い上がっていた二人はその事に気づけなかったのだ。

もっと、しっかり考えて行動すれば良かったと。これでは不誠実もいい所だと二人は青ざめた。

「大樹君が真白さんの事を好きだって気付けずに、大樹君の気持ちも考えず真白さんの恋愛相談をいっぱいしてしまったでヤスね。その時の大樹君の気持ちを考えるととても心が苦しくて申し訳ない気持ちでいっぱいでヤス。」

ウダツは頭を下げたまま話を続ける。

「そして、真白さんにも申し訳ない勘違い行動をして迷惑をかけてしまったでヤス。」

何を言ってるの?と、声には出さなくても涙で語りかけてくる真白に


「大樹君と真白さんが両思いだと気付けなかったオイラは、自分の事しか考えられず一人舞い上がって真白さんに告白してしまった。
そして、緊張し過ぎて真白さんの声があまり聞こえなかった自分は、都合のいい言葉だけ拾ってしまったんでヤスね。
“真白さんと恋人になれたと勘違いしてしまったんでヤス”。」

と、言って顔をあげた。

…え?と、困惑する二人に


「優しい真白さんは、オイラの“勘違い”に合わせてくれていただけ。だから、“オイラと真白さんが恋人だったという事実はない”でヤスよ。
“オイラと真白さんは恋人じゃない。”
今まで、勘違いしてしまって二人には申し訳ない事をしてしまったでヤス。あと、長く勘違いしてた自分が恥ずかしいでヤスよ。」

と、ウダツは真白と付き合ってると勘違いしていたと強調し、真白と恋人だった事実はないと断言した。


「とにかく、二人はこれから幸せになる事だけを考えればいいでヤス。とても、お似合いの二人だからみんなも祝福してくれる。もちろん、オイラも心から祝福するでヤスよ。おめでとう、お幸せに。
そろそろ、戻らないと親友と友達が心配するでヤスから戻るでヤスね。」

そう言って、ウダツは会場に戻って行った。

まさか、こんな展開になるとは思ってなかったが、大樹と真白が恋人になった事をウダツが祝福してくれたので良かったと思う二人だ。

そして、ウダツと真白が、恋人だった事実がなかった事になった事に対して二人は大いに喜んでいた。

ーーーーー

会場に戻ってきたウダツを見るなりフジが駆け寄ってきてギューっと抱き上げられてしまった。

「…うぐ…ウップ…!」

羨ましい事に、フジの形のいいおっぱいに顔を挟まれたウダツだったが窒息しそうでそれどころではなかった。

ジタバタするウダツに苦笑いしがなら

「そのままじゃ、ウダツ窒息しちゃうよ?」

大地がそれを指摘した。ハッとしたフジは顔を真っ赤にしながら

「…ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃ……ハッ!それより、どうなったの?もちろん、バシッと言ってやったのよね?」

三人の行く末が気になったフジは、ウダツを抱き抱えたまま会場から出て行った。それを追いかけて大樹と陽毬も続く。
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