美形なら、どんなクズカスでも許されるの?〜いや、本当ムリだから!調子乗んなって話だよ!!〜
桔梗作、真白の愚行の総集編(5分間)。が、終わると、それを見た結達は

「…真白嬢、えげつなっ!!…うわぁ〜、そんな…うわぁ〜…わぁ〜…」

結はドン引きしながらも、怖いもの見たさでジッと画面に食いつき

「…こんな事まで、…ウエッ…!もう、見てられないわ!」

フジは、真白の性行の開発具合に気持ち悪くなり、見てられないと携帯をポケットにしまい込むと立ちくらみでフラッと地面に座り込んでしまった。

それを「大丈夫でヤスか!?」と、ウダツが駆け寄ってきて、フジを労ってくれたので気持ち悪いものを見て気分は最悪だが結果オーライだ。

「…ほほう。これは、これは…今時の15才は凄いでありますな。」

と、陽毬は興味津々にガン見。そんな陽毬を見て大樹は苦笑いしている。

「やり過ぎじゃないか?」

風雷は桔梗を少し咎めるように声を掛けると

「…ア''?これが、やり過ぎ?あのクソアマは、俺様のショウに危害を加えようとしたんだ。
こんな甘いもんじゃ、俺様の気が済まねー。
これから、どんな地獄見せてやろうか?
あのクソビッチの◯◯◯を◯◯く◯◯◯が10本同時に◯◯してもガバガバにしてやって、◯◯の◯◯◯も真っ黒く巨峰くらいにデカくして腹も◯◯◯にしてやろうか?
そうそう、ご自慢の顔も鼻をまん丸くデカくして顔のパーツも中心にギュッと集めてやるか?
…けど、そんなんじゃ、まだまだ足りねぇ〜…」

と、桔梗は何かピーと規制音を掛けなければならないヤバイ言葉を連発しながらブツブツ言っている。…怖い…。これはブチ切れていて、何をしでかすか分からない状態だ。

言葉使いが変わってるあたり、もうやばい。

「落ち着け!結果的に、お前のおかげでショウは怪我をする事はなかっただろ。それだけでも、良しとしないか?
真白嬢はこれから、これ以上ないくらいの地獄が待っている。十分過ぎるほどの罰だ。むしろ、罰が厳し過ぎるくらいだぞ!」

大地も、ブチ切れている桔梗に危機感を覚え、これ以上はやめろと必死に説得する。

「……いくら何でも、これはやり過ぎだよ!?あんまりだ!これ以上、何かをするっていうなら…力付くで桔梗!君を止めるよ!!」

大樹は、桔梗に敵意を持った目を向けると戦闘態勢に入ろうとしている。

「……ハァア?これが、やり過ぎだぁ?
あのドブカスに暴言吐かれたショウの傷はどうすんだ?どう、落とし前つけんだ?
あのドブカスが、ショウに危害を加えようとした時点でアウトなんだよ。テメーら、俺様の邪魔するってなら……消すぞ。」

そう言って、風雷達を見てきた桔梗の異質さに、その場に居たみんなが動けずいた。僅かでも、動けば魂ごと消されるんじゃないかと錯覚する程圧倒的な恐ろしさがあった。

結達も、今まで見た事のない桔梗に、恐れ慄きガチガチと震えが止まらない。気がつけば、あまりの恐怖に腰が抜けて地面にへたり込んでいた。

「…どんな地獄見せてやろうか?」

と、桔梗は宙に浮き髪はフワリと逆立ち波打っている。…これが、自分達と同じ人間なのか?異常過ぎやしないか?

そして、桔梗を中心として空気が気味悪く蠢き時空が歪みはじめ地面も徐々に揺れが大きくなり、時空と地面にピシリと亀裂が入り始めた時だった。

「…き、桔梗ッ!地震!?ねえ、地震なの?怖いよぉぉ〜!!!」

怒れる桔梗に何も動じる事なく、ショウは急にきた地震(?)にビックリして怖くて少し宙に浮いてる桔梗の膝に抱き着いてきた。

そこで、桔梗はハッと我に返り

「…ショウ…?」

と、怖くて怖くて必死になって桔梗にしがみつくショウがとても可哀想で、ギュッと胸が締め付けられると同時に、必死になって自分にしがみついてくるショウが可愛くてきゅん!と、した。

可哀想とかわいいが同時にやってきて桔梗は、真白達の事なんて頭からスポンと抜け

「…大丈夫だよ。もう、地震は来ないから、ね?」

そう優しく声を掛けてゆっくりと地面におりると、そっとショウを抱きしめた。

「…あと、どうして桔梗も、風雷も大地も大樹も怒ってるの?…みんなでケンカするの?
私、そんなのヤダよ?」

ショウは、そう言ってグスグス泣いてしまった。それを見て、桔梗は慌てて

「怒ってるのは、風雷達にでなくて…真白嬢に怒ってるんだよ。ショウに酷い事したから。」

ショウに、説明をした。すると

「…桔梗が守ってくれたから大丈夫だよ?それに、私ね…(真白嬢苦手だから、関わりたくないよ?)そんな事より、せっかく社交界来たんだから、みんなで楽しみたいよ。」

と、ショウが言うので

「…ごめんね。せっかくの社交界だし、残りの時間はみんなで楽しもうね!」

さっきまでの怒れる大魔王はどこに行ったのか、そこにはいつもと変わらない温和な桔梗がいた。

そこで、やっとその場はピリついた緊張の糸が切れ穏やかな空気に変わった。

その事にみんな、命拾いしたとホッとしたと同時にとんでもない恐ろしいものを体験したと、心臓がドットッドット強く打ちつけていた。まだ、冷や汗も流れたままだし全身も冷たい。

…恐ろしい…本当に、恐ろしい目に遭った。

桔梗は、絶対に怒らせちゃいけない。

そう、この場にいる誰もが強く心に誓った。(一部を抜かす)


「……あとね。みんなの携帯が鳴って、みんなで同じの見てたみたいだけど…私の携帯だけ鳴らなかったの。どうして?」

と、聞くショウに、桔梗は困った表情を浮かべ

「ある人が、とても悪い事をしていて被害が大きくならないように、それをみんなにお知らせしたみたいだね。
それで、警戒アラームが鳴って悪事の内容が画面に流れたんだよ。みんな、この人には気をつけてね、って。
だけど、内容があまりに汚かったからショウが怖がりそうだから見せなかったんだよ。…ごめんね?」

なんて、白々しく説明する桔梗に

「……ずるいっ!」

「…え?」

「…結ちゃんや、陽毬ちゃん、フジちゃん、大地だって私と同い年だよ?桔梗だって、そうなのに!私だけ除け者はやだっ!」

ショウは、桔梗に向かってプンプン怒ってきた。その姿に、少し困った顔をした桔梗が

「…参ったなぁ。こんな汚物…ショウに見せたくなかったんだけど…。…う〜ん…
じゃあ、少しだけね?気持ち悪くなったり、見たくないって思ったら直ぐに言って?」

と、言うとマジックのように、今まで手に携帯なんて無かった桔梗の手にスッと携帯が現れ映像が流れる。

その映像を見て、ショウはギョッとして見る見る顔が真っ赤かになっていった。

「…ヒャッ…え?…こ、これって、とってもとってもエッチだ!……え、こんな事までするの?…みんな、違う男の人ばっかりだよ?
………6人で、エッチな事してる…え?…そんな事まで……オエッ……!!?」

最初のうちは、エッチな事だとドキドキ顔を赤らめていたショウだったが、映像が進むにつれて内容もエグくなっていき…乱交や、ノーマルには考えられないハードな内容になっていきショウは、気持ちが悪くなって吐き気がしてきた。

「……ごめん。もう、無理!!これ以上、見れないし音も聞きたくもない。」

ショウは、あまりのハードな内容にギブアップして、見たくないと桔梗の胸に顔を埋めてメソメソしてきた。

「…ね?嫌だったでしょ?これから、もっと酷くて悍ましい映像がどんどん流れるんだ。だから、ショウには見せたくなかったんだよ。」

桔梗はこうなるのを分かっていて、あえてエッチな映像ばかり見せたのだろう。優しくショウを抱きしめ宥めている。

「…うん。ごめんね?私の事考えてくれてたのに、見たいってわがまま言っちゃって。」

「ふふ。こんなの我が儘じゃないし、見たくなるのは当たり前だよ。ただ、俺の説明不足のせいだから。俺こそ、ごめんね?」

と、なんかイチャイチャし始めた二人に、みんな桔梗に対しシラーッとしていた。

…コイツ、ヤベー。全部、計算のうちだ。

だが、気になる事がある。


「そういえば、さっきの映像はまた再生する事ができるの?」

フジが、その疑問を桔梗に投げかける。

「できないよ。一度流れたら全て消えるようにできてる。だから、いくら再生したいと思ってデータを探したところで何にもないよ。探すだけ無駄。」

なんて事のない様に桔梗はサラリと答えた。だから、あの映像を流した犯人は永久に見つからない。

こんな話を堂々としているあたり、この会話も他の誰にも聞かれないよう細工しているのだろう。

そういえば、桔梗も風雷も言っていた。
他の人に聞かれて不味そうだと感じだら、防音魔道で他の人には聞こえないようにしているのだとか。

だから、会場にいた時も色んな話を堂々と話していたんだろう。
だが、こちらが口を動かしているのに何一つ声が聞こえないのもおかしいので、本当に聞かれて不味いワードに規制をかけて、そこだけ別の単語に変換して他の人に聞こえるという何とも高度なテクニックまで使っているらしい。

…さすが、M級魔道士とS級魔道士(将来、得S級になれるだろうと期待されている)である。

もはや、同じ人間とは思えない。


「せっかく、アラームを鳴らして映像を流したみたいだけど、確か会場内では携帯はマナーモードにするのがマナーだからな。アラームも消音になってて誰も気づかないんじゃないか?」

と、結が聞くと

「ああ、魔道を使って最大音量で鳴らして映像を流したから、携帯の機能なんて全く関係ないよね。」

なんて、軽やかに答えた。では、会場ではどんな騒ぎになっているのだろうと想像するだけでゾッとする。

…桔梗は絶対に敵に回したら駄目な人だ。怖すぎる。

そんな話をしているうちに、結達も回復してきたので、一抹の不安を抱えながらみんなで会場へと戻って行った。

一人残された真白は、まさか会場中にいる人達までこの映像を見たとは知らず

…もう、大樹とは縁が切れてしまったんだと途方に暮れていた。まさか、会場に戻ってからが本当の地獄だとは知らずに。

だって怒りの収まらなかった桔梗が、会場にも映像を流したという話を真白だけに聞こえないようにしていたから。とっても意地悪である。


結達が会場へ入ると、やはりというか阿鼻叫喚の図であった。真白と体の関係のある男性陣達や真白と一緒になって虐めをしていた御令嬢達の関係者がだ。

たまたま、この場に来なかった真白のセフレ達や虐め仲間達はとても運がいい。だが、後から白い目で見られる事は言わずもがなである。

「…うわぁ〜、悲惨な事になってんなぁ〜。自業自得だろうけど…。大樹様のお兄さんが可哀想だな。せっかくの祝いに、こんな大騒ぎになっちまってさ。」

と、結は大樹の兄とその婚約者を哀れんだ。

「…だいたいの想像はできてたけど、実際に見ると違うね。…これは、酷い。」

大樹は、…ハァ〜と頭を抱えてしまっている。一番上の兄とは年も離れてるし、昔から長兄から能力や容姿の事で嫉妬されほぼほぼ無視されてきたので別に仲がいい訳ではないが、さすがに身内だし意地悪って程の意地悪もされた事はないので少し可哀想に思えた。

「…あちゃー!これは、酷いってもんじゃないな。どうすんだ、これ。」

と、大地がどうしようもないなと会場の様子を見ている。

「…怒る気持ちもわかるけど。
もう少し、考えて行動するべきだったんじゃないかしら?」

フジは、やり過ぎだと桔梗を咎めるように言い、桔梗を見ると

…ゾッ…!

桔梗は、その場をとても楽しそうに見て笑っていた。

「…ハハッ!本当は、もっと面白い事考えてたけどショウに止められちゃったからなぁ。ざぁ〜ん念。」

その言葉を聞いた、結達は…コイツ、ヤバイ奴だと思った。それを察した風雷は

「桔梗にとってショウは自分の全てだ。桔梗はショウ次第で善人にも巨悪にもなる。
だから、ショウに少しでも危害を加えようとする輩には容赦がない。」

と、説明して

「…むしろ、真白嬢がショウにした事に対して、“この程度”で済んでる事が奇跡的だぜ?」

次に、大地が説明の補足をした。

「……良かった、この程度で済んで……」

色々ありはしたが、真白と縁を切ったばかりで真白への複雑な気持ちがまだまだ残っている大樹は、心の底からホッとしたような声を出していた。

…え?桔梗、怖すぎでしょ…!?と、ゾッとする結達に

「桔梗ばかり言ってるが桔梗程でないにしろ、コイツらも似たようなもんだから気をつけろよ?」

風雷は、親指で大地と大樹を指差した。

……え?

そうなの?…それより、みんなショウに過保護過ぎない???なんで???

と、結達は思ったが、今の雰囲気でそんな事を聞く勇気はなかった。

「もっと言えば、大地や大樹の様な存在は他にもいる。彼らの役割の一つが、暴走した桔梗を食い止める事。もっとも、桔梗が暴走するのはショウ絡みのみ、これだけは言える。」

補足の補足として、風雷はそう説明してくれたが、その中に風雷の名前がない事に違和感。それを見越して

「風雷はショウの父上直属だから、少し違うんだぜ。俺らはショウの直属。…ま、ちょっと喋り過ぎたけどさ。これ以上は言えないけど、そんな感じだぜ。」

なんて大地が話してくれたが、イマイチよく分からなかった。
だけど、会社で所属している部署が違う的なそんな感じだろうか?なんか、違う気がする。


「…どうして、みんなケンカしてるのかな?せっかくの社交界なのに。」

と、社交界をとても楽しみにしていたショウは修羅場と化した会場を見て、たじろぎションボリしていた。
それを見た桔梗は、この酷い有り様な会場をさっきまで悪魔のように愉快だとばかりに冷笑していたのに、クイっと形のいい眉を下げ

「…ショウ…。」

ショウが悲しんでるとズキリと心が痛み、回転の早い頭で色々と考えある事をした。

驚く事に、さっきまでの修羅場が嘘の様に、いつも通りの雰囲気に戻りみんな楽しそうにしている。

…え?

どうなってるんだ?

と、おそらく桔梗の仕業と考えた結達は一斉に桔梗を見て説明を求めた。

「うん。せっかくの式典を台無しにしたら可哀想だし、何よりショウが楽しみにしてる社交界だからね。社交界が終わって、それぞれの家に帰ってから“記憶が戻る”ようにしただけだよ。
みんなも、時間まで楽しもう、ね?」

そう言って、ショウと手を繋いで楽しそうに、自由行動だとばかりに何処かへ行ってしまった。風雷はヤレヤレといった感じに、深いため息を吐きながら二人の後を追った。

その直後、結の頭の中に風雷の声が響いた。


『いきなり、すまない。だが、誰にも聞かれたくない事だから直接、結にテレパシーを送った。時間があるなら、少し俺の話に付き合ってほしい。ダメか?』

思ってもみない人物からの声掛けに、結はパニックになりあたふたした。

…こ、これ!テレパシーってやつだよな!?

どうやって、会話すればいいんだ?わっかんねぇ〜!!!?

直接、声を出すのか?そんな事したら、独り言言ってる変な奴にしか見えないだろ!

どうすりゃ、いいんだ?

と、ぐるぐる悩む結に

『…プッ!…あ、すまない…ゴ、ゴホン!
…大丈夫だ。テレパシーで繋がってる間は、結の考えてる事がそのまま伝わってくるから、結が喋りたい事を頭の中で思い浮かべるだけでいい。』

なんて、言うから

さっきまで、頭の中でグワァーっと考えていた事がダイレクトに風雷に伝わったと思うと恥ずかしくてしょうがなかった。

『…バカヤロー!そういう事はもっと早くに言えよ!恥ずかしいじゃないか!』

結は恥ずかしさのあまり、グワーと小さな雄叫びをあげながら頭を掻きむしっていた。

そんな変な行動してるもんだから、フジや陽毬が心配して

「…どうしたの?疲れた?」

と、結に近づいてきた。

…ドキーーーッッッ!!?

「…あ、あはは!なんか、色々あったからさ。疲れたみたいで…あ〜〜…、ちょっと、休憩室で休んでくるよ。」

そう言って笑って誤魔化した。

「…本当、色々あったものね。ゆっくり休んできてね。」

「そうでござるな。私も、凄く疲れたので少しの間、一人になれる場所で休んでから来ますぞ。」

と、フジと陽毬の言葉があり、結は有り難く二人の言葉に甘えて休憩室に行った。休憩室には、ちらほら人がいたがダンスやお喋りで疲れたり立ちっぱなしでグッタリしてる人達ばかりなので静かであった。

そこで、結は空いてる椅子にどっこいしょと腰掛けて風雷にテレパシーの応答をするのだった。


『私の方は、休憩室に移動したから大丈夫だよ。そっちこそ、大丈夫なのか?ショウ達の護衛だろ?』

と、ちょっと半信半疑で頭の中で風雷に話しかけると

『こっちも大丈夫だ。あのバカップルは、どっかのデ◯◯ニーの王子様とお姫様のごとくお花を散らしながらダンスに夢中になってるから大丈夫だ。見てて、アホらしくなる。』

と、言った風雷の言葉に少し笑ってしまった。
なーんか、あの二人のダンスとか見なくても目に浮かぶ様だ。

超運動オンチでダンスなんか習った事もないショウを、超天才桔梗はダンスの講師も真っ青のハイレベルで完璧なダンスを披露しつつショウもフォロー。

桔梗に誘導されて踊ってるとは分からないショウは、勝手に体が動いてるなんて勘違いしてめちゃくちゃダンスを楽しんでるんだろうな。

その分の桔梗の負担はハンパないけど、そんなの桔梗にとっては些細な事って感じかな?

なぁ〜んて、ぼんやり考えていると


『…ブフッ!!まさしく、その通りだ。勉強はできないが、地頭はかなりいいみたいだ。
結の想像した通りの事が目の前で繰り広げられてる。』

と、声が掛かった事で妄想まで相手に伝わってしまうのかと

「…う、うわっ!!?」

思わず、結はビックリして声を出してしまった。おかげで、お疲れで休憩していた皆さんの白い目がこちらを向いてきて居た堪れなく体を小さく縮める結だった。

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