美形なら、どんなクズカスでも許されるの?〜いや、本当ムリだから!調子乗んなって話だよ!!〜

それぞれの変化。

「おお!今日も愛妻弁当が凄いな!
フジ嬢、また料理の腕上がったんじゃないか?」

と、昼休み中、ウダツの教室で一緒にお弁当を食べているウダツと大地(ダイヤ)。大地はもちろん、家のシェフに作ってもらっている。

「…本当に、凄いでやす。最初お弁当貰った時から、料理の上達が早くて驚くばかりでやすよ。…あ、あと、大地君に報告があるでやす。実は…ーーー」

「…ん?」

なんて、二人はフジの作った料理に対して大絶賛している最中、ウダツはかしこまったように大地に今朝の出来事を話してきた。



ーーーーーーー



大樹と真白のあの事件から二週間くらい経った頃だった。学校の寮にお世話になっているウダツが、ちょうど部屋でくつろいでいる時だった。フジから電話がきて

『ウダツさんにお弁当作りたいんだけど…。
…あ!嫌だったらいいの!無理に食べさせたい訳じゃないけど。だけど、食べてもらえたら嬉しいなって…』

なんて、歯切れが悪い感じで言われたが、わざわざ自分の為にお弁当を作ってくれるという、フジの好意が嬉しくて

「いいんでやすか?」

『…え!?そ、それは、もちろん全然!ウダツさんさえ良かったら、毎日お弁当食べてほしいの!』

なんて、しおらしく言ってくるフジに、ドキドキしつつ色々と話し合った結果。
毎日、フジがウダツにお弁当を作って、ウダツの寮まで届けに来てくれる事となった。

学校で渡すと色々騒がれる可能性があったし、何よりウダツに会いたいからと言われてしまっては断る事もできない。

最初こそ、緊急しながらお弁当を渡して直ぐに帰って行くフジだったが、徐々に玄関先で会話をする事が増え。

会話も長くなってきたので、まさか女の子に玄関で立たせっぱなしは可哀想だと寮の部屋に入れ、そこから二人は最初こそお互いにモジモジしていたものの。

そこは時間が解決してくれ、色々あって今ではフジが台所に立ちウダツに朝食を作り一緒に食べる習慣がついていた。

この朝の時間は、二人にとってかけがえのない大切な時間となっている。

もちろん、結やショウ、陽毬のアドバイスの元、フジは毎日“ウダツさんメロメロお色気作戦”も実行中である。

どんな事をされたら男性は嬉しいのか、桔梗や風雷にも聞いてみたりしてフジはウダツに振り向いてもらおうと大奮闘中だ。

「ウダツさん、大好きよ。」

フジは羞恥もプライドも全て投げ捨てて、毎日のように隙あらばウダツに“好き”だと言い続けた。

最初こそ大慌てで少し否定的だったウダツだったが、フジに

「私はウダツさんが好きで、下心あって押し掛けてるの。…けど、ウダツさんにその気がないのは分かってるつもりよ。
だから、私の我が儘だけど否定はしないで?
ただ聞いてくれるだけでいいの。それが、ウダツさんにとって、凄く嫌な事だったらもう言わない。」

そう言われ、その情熱と気迫に心打たれそれを許した。そこから、フジは結達のアドバイスのもと徐々に距離を詰めていき

ウダツの側を少しずつ詰めていく事から始まり、今では隣にくっついて手を触れ合うまで成功している。

本当は、直ぐにでも

“ウダツさぁぁ〜〜〜んっ!”

と、ガバッとウダツを押し倒して美味しく頂いちゃいたいのだが、ウダツにドン引き&幻滅されるのが嫌でそこはグッと我慢している。

だって、お色気ムンムンの見た目に反して、フジの心はピュアッピュア!

きちんとお互いに好きあって告白して…と、陽毬の家に遊びに行く度に読む、お気に入りの少女漫画(フジの恋愛指南者)みたいに少しずつ段階を踏んで青春したいと考えてる恋する乙女だから。


だけど、そんな純粋な気持ちに反してウダツに心底惚れているフジはウダツの魅力に心奪われ

“もう、どうにでもしてぇ〜!”

“今すぐにでも、私をめちゃくちゃにしてぇ〜〜っ!!”

と、ピュアな心とは裏腹に、ウダツを思えば思うほどお腹の奥がキュンキュンと疼き毎日毎日悶々と火照る体を持て余している。本当に、どうにかしてほしい。
もう、身も心もどうにかなってしまいそうだ。

ウダツを知れば知るほど、ダ◯ソンの掃除機ばりに、物凄い吸引力で吸い込まれるように好きになっていく自分。好きって限度がないんだと知った。

だって、会う度にウダツを知る度に好きがドンドン増えていくばかりだから。

…だけど…

すぐ、側に心底惚れた男がいるのに、まだ恋人にもなれてないっていうのに…

こんなにこんなに大好きなのに!

もう、何もかも差し出しても構わない程好きなのに!!

と、考えてた所でハッと我に返り

なんて自分ははしたない事を考えてるんだと、フジは自分が嫌になってしまいそうになっていた。

こんな汚い心がバレちゃったら、ウダツさんに嫌われちゃうわ。

…ううん、そんな汚い心の持ち主はウダツさんには相応しくない…

と、悲しい気持ちになったのだが

ここで、大問題が発生していた。


「……さん?…フジさん?」


自分を呼ぶ愛おしい人の心配する声。

……え?

どうして、そんな不安気な声で私を呼ぶの?

と、フジは困惑していたが、その原因が直ぐに分かってしまった。

…だって、だって

気がつけば、フジはウダツへの思いが溢れるあまり

「…ウダツさぁ〜ん、本当に本当に大好きぃ〜〜…。好きで好きで堪らないのぉ〜〜っ!…いつになったら、私の気持ちに応えてくれるの?…ウダツさんの気持ちを振り向かせるまで我慢するって決めていても…私…辛い…!」

なんて、思いの一部を絞り出すような声でグスグス泣きながら、ただいま身長175cm(成長途中)のフジと155cmと男にしては小柄なウダツの体格差。

なのに、勢いよくフジに抱きつかれたものだからフジを支えきれなかったウダツは、フジに押し倒されるという形になってしまっていた。

それでもウダツへの思いが溢れて止まないフジは、押し倒した事さえ気付けず夢中になってウダツを抱き締め自分の気持ちを曝け出し泣いていたのだ。

ウダツは、そんなフジの頭をひと撫ですると


「…フジさん、ごめんでやす。」

と、謝ってきた所で、フジの心や体は凍り付く感覚に襲われた。

…ドクン…

…だ、ダメよ…

そ、それ以上は言わないで?

そんな事言われたら…私…私ッ…!!

ドクンドクン…!


そう思ったら、フジは逃げないようにウダツの両頬を挟むと馬乗り状態で、無理矢理にウダツの唇を奪った。

だけど、少女漫画やドラマでのキスシーンしか見た事のないフジは、唇と唇を長くくっ付けるキスしかできなかったのだが。

ウダツが酸欠になるくらい長い長い唇をくっ付けるだけのキスから、ようやく顔を上げたフジの顔は綺麗な顔も台無しなくらいに泣き腫らしていた。

「…言わせないわ!いつか絶対に、ウダツさんを振り向かせてみせるから!!
その為に、私…頑張るから。ウダツさんが好きになるくらいいい女になるから…っ!
…だからっ…!!」

振らないでと必死に懇願するフジ。

ウダツは困ったように短い眉を八の字にさせ、フジを落ち着かせようとフジの名前を呼ぶも聞く耳など持たずパニックを起こしているフジ。

そんな、フジに

「フジさん、大丈夫でやすよ。大丈夫、落ち着いて。大丈夫。」

混乱するフジを落ち着かせようと、ウダツはフジの肩を優しくポンポンと叩きながら何度も“大丈夫”という安心の言葉を言い続けた。

そこで徐々に正気を取り戻したフジは、ハッとし今の状況を理解すると

自分はなんて、とんでもない行動を起こしてしまったんだ。頭のおかしい女だと引かれちゃったかもしれないと青ざめ

「…こ、こんなつもりじゃ…ご、ごめんなさい。」

と、絞り出すような声で謝り始めた。

そんな、フジに


「フジさんが謝る必要なんか何一つないでやす。謝るとしたら、フジさんの気持ちも考えず、今の現状に自分だけ満足してた自分。
フジさんの優しさに甘えて何一つ動かなかった自分でやす。」

と、少し困った表情を浮かべながら、ウダツは話してきた。

「…そ、その前に、一旦楽な姿勢になりたいのでやすが…」

ちょっと、言いづらそうに発したウダツの言葉で、フジは自分がウダツに馬乗り状態な事に気がつき慌てて、素早くウダツの上から降りると横に正座した。

「…ご、ごめんなさい!」

やってしまったぁ〜っっ!!?

さっきから、何してるのよ…私!!!

失敗も失敗、大失敗もいい所だし羞恥しかない!恥ずかし過ぎて、穴があったら入りたいくらいよ!!

なんて、言葉にしなくても分かり易いフジの表情や言動に、ウダツは少し笑ってしまった。

ウダツは、フジの手前にちょこんと座り直すと真面目な顔をしてジッと見てきた。

…ドキッ!

…ウダツさんの透き通るようなアクアブルーの目に吸い込まれてしまいそうだわ。

真剣な顔をしてる、ウダツさん…カッコいい…素敵。

…ああ、このまま私を抱きしめてキスしてくれないかしら?

ウダツさんの唇…とても柔らかくて、とても気持ち良さそう…

トクン

その前に、ウダツさんにくっ付きたい。ギュッてしたい。

トクン

なんて、うっとりとウダツを見るフジ。


何故か分からないが、時々けっこうな頻度でフジは艶っぽくなる事が多いのでウダツは、どうしたらいいのかタジタジになる。

今も、とろりと蕩けそうな顔で色っぽく自分を見ているフジにタジタジではあるが、気を引き締め気合いを入れた。

これから、ウダツはフジに大切な事を言わなければならない。


真剣な眼差しでフジを見てくるウダツに
  

…ドキドキ…!


…何かしら?

こんな真剣な顔して…カッコいい〜…

……ハッ!

じゃなくて!!

これから、ウダツさんから何を聞かされるの?

ここから、先を聞くのが怖いわ。

と、不安で思わず体に力が入ってしまう。


…ドキドキ…!

「初めてフジさんと知り合ったあの社交界。
真白嬢の事で色々あったでやすね。
その時、初めてフジさんの本質を見た気がしたでやすよ。
友達の為に一生懸命になれる人。人の為に怒って泣いて笑って、悔しがって。
その時、ああ、とても素敵な女性だなと思ったでやす。そこから、オイラはフジさんを知る度にどんどん心が惹かれていったでやす。」


…ドキッ!

…え?あの時の事よね?

お化粧も髪型もドレスも何もかもぐちゃぐちゃで見っともない姿を曝け出した…思い出したくもない恥ずかしい姿。

周りの人達にも、見っともないだの、傲慢だの散々に悪く言われ放題笑われ放題だった、あの日の事???

それは伏せて置いて…

…ウダツさんは勘違いしてるわ。

友達の為に…とか、そんなんじゃないわ。あの時、ただ単に大樹様と真白嬢に腹が立ってしょうがなかった。

ウダツさんや陽毬ちゃんを振り回して傷つけてるのに、自分達だけお花畑の二人に白黒ハッキリさせたくて突っかかって行っただけなのよ。

…今、思うと…羞恥しかないわ。

だから、友達の為とか正義の為だとか全然そんなんじゃないのよ…ウダツさん…。

と、罪悪感が芽生えてくる、フジ。

「そもそも、オイラは気のない女性を例え友達だとしても部屋に招き入れ二人きりになんてならないでやすよ。」

…ドキンッ!

「……え?」

ウダツの言葉に、思わず声を出すフジは西洋人独特の白い肌を真っ赤にさせながら話してくるウダツを驚いた表情で凝視した。

「オイラは、フジさんの事が好きでやす。良かったらオイラと付き合ってほしいでやす!」

と、真っ直ぐにフジの顔を見上げてきた。

「……えっ!?」

まさか、思ってもない展開にフジの涙はピタリと止まりキョトーンとしている。

「…ウダツさんが、私を…好き?結婚??」

なんて、ウダツの告白をなぞるように確かめながら、ウダツの反応を伺っている。その度に、ウダツはうなづき(結婚は言ってないが)

「こんなにも心奪われた女性はいない。後にも先にも、こんなに人を好きになる事はないって断言できるでやす。だから、オイラと恋人になってほしいでやす。」

と、いまいちウダツの告白を飲み込めてなく呆けているフジに、ウダツは再度告白をした。

そこで、ようやく実感の湧いたフジは、ぶわぁぁ〜〜っっっ!!!っと、体の中心から花開くように嬉しが込み上げ感極まり過ぎて勢いよくウダツに抱きつき

やはり体格差から、ウダツはフジに押し倒される形になってしまったが。


「…う、うれしぃ〜〜〜っっっ!!!もう、嬉しくて、どうにかなってしまいそうだわ。
私もよ!私も、ウダツさんが好き。誰より何よりも好きよ!
結婚ももちろんよ!ウダツさん以外、結婚なんて考えられないんだからぁ〜〜〜っっっ!!!
今、私っ!信じられないくらい幸せぇぇぇ〜〜〜っっっ!!結婚してくれて、ありがとーーーーっっ!!!愛してるわ、ウダツさんっっっ!!!!!」

と、ウダツに抱きつき、嬉しさのあまり大泣きしながらウダツへの重い愛を叫んでいた。(結婚の話はしてないが)そんな、フジの背中をあやすように優しくポンポンと叩きながら、ウダツは

「幸せなのも嬉しいのも、こっちの方でやすよ。…オイラを好きになってくれて、ありがと、フジさん。」

そう囁き、そっとフジの細い腰に手を回した。その細さにビックリしたが、自分を抱きしめてくれたウダツにフジは舞い上がった。

結果、興奮のあまりフジはウダツをギュウギュウに抱きしめ、形のいいなかなかに大きなオッパイにウダツの顔を埋めながら

「これ以上ないくらい、私がウダツさんを幸せにするわ!本当に本当に、大好きよ。大好きなのぉぉ〜〜〜っっっ!!!」

猛烈な愛の告白をしていた。



ーーーーーーー



「…そんな事があって、実はオイラとフジさんは今日、恋人になったでやすよ。」

なんて、ウダツは照れながらビックリ発言をしてきた。

「…え?…あ、いや。誰がどう見ても両思いなのにモダモダしてるなぁ。早く、くっつけよ。って、ぶっちゃけ思ってたけど。
…いきなりだったな。もっと、時間がかかると思ってたぜ。でも、良かったな!二人が恋人になれた事、スッゲー嬉しいぜ!おめでとう。」

と、大地は自分の事のように喜び興奮していた。そこから、親友男同士の恋バナに花が咲くのだった。


一方のフジも


最初、モジモジしながら

「みんなに大切なお知らせがあるの。
…実は、私…ウダツさんと恋人になる事ができたのぉぉ〜〜〜っっ!!!」

と、恥ずかしそうに真っ赤な顔を両手で隠し、嬉しさのあまり体をクネクネさせながら報告してきた。

その報告にみんな驚くものの、今までのフジの頑張りとウダツへの重過ぎる愛…いや、恋する乙女な姿を見ていたので、フジの恋愛成就にその場がワッと湧いた。


「おめでとう、フジちゃん!良かったね、本当に良かった。」

と、満面の笑顔でショウが心から祝福している姿を愛おしそうに見つめながらも

「ウダツは、そんじょそこらの馬鹿な人間達とは全くの別物だからね。ウダツに見合ういい女になりな、ね?」

何故か、ウダツを特別視する桔梗はフジにこれ以上にいい女になれという。ウダツに見合うようにもっと精進しろという。

見た目はおろか、中身までも努力でいい女になったフジに向かってである。

そんな手厳しい桔梗の祝福に、風雷以外みんな、もう十分が過ぎる程でしょうが!?これ以上、何を求めるんだよ!と、心の中で突っ込んだ。


「しかし、恋って凄いもんだな。ウダツ君に恋して、フジちゃんはマジでいい女になったもんな。
日に日に、綺麗になっていくからビックリしちゃうよ。とにかく、おめでとう!凄く、お似合いのカップル誕生だな!」

結も二人が恋人になれた事を大いに喜んだ。


「結ちゃんの言うとおりでござるな。恋一つで、こうも人が変わってしまうとは!
フジちゃんの元々の性質が良かったのと、お相手がとてもいい男ですからな。
やはり、恋する相手によっても自分も変われるのかもしれませぬな。本当に、いい男を見つけられたフジちゃんはラッキーですぞ。
あんな、いい男はどこ見渡してもなかなかおりませぬからな。羨ましい限りですぞ。」

陽毬は、心底羨ましそうに見ていた。


「あんな凄い人と恋人になれるなんてな。驚きでしかない。おめでとう。」

風雷は珍しく柔らかな笑みを少しだけ見せてくれた。

みんなに祝福されて、フジは嬉しいやらむず痒いやらやらで。


「みんな、ありがとう!私、絶対にウダツさんと幸せになるわ。いえ、もう幸せ過ぎて…んふふっ…!嬉しっ…!!」

と、フジは幸せいっぱいな笑顔を見せてきて、その姿はそれはそれは、とても美しい天女のようだった。

その場にいた蓮は、うっとりとフジに釘付けになっている。


…なんて、美しいんだ…


ドクンドクンドクン…


だけど


「フジ嬢と恋人になれるなんて、どんな男なの?ウダツなんて名前、聞いた事もないけど?」

蓮は、この学校でイケメンだったり成績優秀、他に何かで特化している生徒達は校内では有名なので知っているはずなのに、その中にウダツなんて名前はない事に不思議に思った。

この学校で有名だって言ったら、断トツで

鷹司 大地(たかつかさ だいや)

の、名前があがるだろう。

他校の有名校でも知らない人はいない有名人だから。

自分達と別次元にいる久遠(桔梗)と朱雀院(風雷)は別として。まず、社交デビューすらしてない一般人らしいから、他校の生徒達は彼らの存在なんて知らないだろう。

…話は脱線してしまったが、フジ嬢が選ぶくらいだ。とんでもないハイスペックな男だという事だけは分かる。

だけど、やっぱりこの学校でそんなハイスペックは鷹司 大地様しか思い浮かばない。

…誰だ?フジ嬢のハートを射止めたハイスペック男、ウダツって?

こんなにも、みんなが…あの久遠(桔梗)や朱雀院(風雷)までもが、こぞって“いい男”だと大絶賛するウダツ。

どんなに、凄い人物なんだ?

…ドキドキ!

と、蓮はグルグルとそんな事ばかり考えていた。

でも、ウダツが…羨ましい…

こんな、いい女いないぞ?

そんな極上の女を捕まえたラッキーな男が気になるし、やっぱり羨ましくて仕方ない。

だって、フジ嬢だよ?

社交界でも他を寄せ付けない美貌と、この気品溢れた仕草。全体的に癒しを纏ったような優しい雰囲気…まるで女神が降臨したかのようだ。

しかも、才色兼備なのはもちろん。お昼弁当も自分で作ってるなんて家庭的で好感しか持てない。

過去、自分の知っているフジ嬢とはかけ離れ過ぎて、もはや別人にしか思えない。

…いや、本当に別人でしょ!?

と、蓮の頭の中はフジの事でいっぱいいっぱいだった。

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