名前のない星座


そういうことがこの2年間でたくさんあった。
だからあと1年間もそうなんだろう。けど、それはおれにとってであって、渋木雨美からしたら7年間のうちのことで、ほかの誰かとも過ごしたことがある内容だったかもしれないし、このあとも続いていくことなのかもしれない。

明るい。おしゃべりで、何に対しても前向きで、好奇心があって、挑戦をする。

それなのにどうして高校3年生に留まっているのか。らしくない。イコールで結びつかない。だけど、だから出会えた。おれが何かできたわけじゃない。


「どう?進んでるー?」

「体勢的に足と腰がしんどいから早くおわらせたくてかなり進んだよ」

「若いくせに何言ってんのー」


そっちが体力ありすぎるだけじゃね?


22才がどんなもんかはわからないけど、20才の兄ちゃんの彼女は山登りとか絶対に行かないけどこいつは平気で行く。つーか自分から行く。

今年の初詣は山登りをしてくだった途中にある神社でやらされた。つまり大晦日から寒空夜中のハイキング。地獄の一夜。頂上で見た初日の出はよかったけど……そのあとこいつは前年度のクラスメイトたちと温泉なんだっておれを地元の駅まで送ってべつのやつらのところに行った。元旦デートのデの字もない。

思い出したら苛々してきた。そのぶん作業は捗って、なんか、まんまとのせられた感じだ。


「ぎんなん、よくがんばってくれたね。まさか種まき作業がこの放課後だけでほぼほぼ終わるとは…感動してる!お花植えたときのノウハウを覚えていたんだね、すごいよぎんたろー!」

「その手で抱きついたら制服弁償させるからな」

「けちんぼ!分かち合いたいのにー!」


ことあるごとに抱き着いてこようとするから困る。

< 11 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop