甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~
翌日の夜に帰国した旺志さんは、真っ先に私のもとに帰ってきてくれた。


『俺がなんとかするから心配しなくていい。ふたりで一緒に乗り越えていこう』


当たり前のように励ましてくれる彼を前に胸が痛み、昨日は出なかった涙が零れそうになった。


『こんなことで頼れないよ……』

『真白はいずれ俺の妻になるんだから、なにも遠慮することはない』


戸惑う私にかけられたのは、迷いのない言葉。
目を見開けば、旺志さんはハッとしたような顔をした。


『いや、こんな言い方はよくないな。きちんと伝えさせてくれ』


一拍置いた彼が私の手を取り、真剣な双眸で見つめてくる。


『真白、俺と結婚してくれ。真白を傷つけるすべてのものから、必ず真白を守る。神室の姓になれば苦労をさせるかもしれないが、一生愛し抜くと誓う』


きっと、なんでも完璧な旺志さんが描いたプロポーズとは違っていたんだと思う。
けれど、私にとっては人生で一番嬉しい瞬間だった。
< 13 / 66 >

この作品をシェア

pagetop