甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~
「ユキちゃん? どうかした?」
お客様の声でハッとした私は、すぐに笑顔を繕ってお酒を作った。
蓉子ママに大きな恩があるというのに、ぼんやりしているわけにはいかない。
「そういえば、ユキちゃんは東京出身だったよね。今度、東京出張があるんだけど、なにかお土産買ってこようか?」
東京と聞いて、胸の奥が小さく痛み出す。
「ありがとうございます。でも、お気持ちだけで充分です」
「ユキちゃんは欲がないなぁ」
「じゃあ、甘えてもいいですか? いっぱいお願いしちゃいますよ?」
疼く胸を隠すように明るく笑ったのに、蘇ってくるのは旺志さんと過ごした最後の夜のこと。
あのときの彼との情事は、あまりにも甘くて優しすぎた。
夜明け前、まだ眠る旺志さんの唇にキスを残して羽田空港へと向かい、最短で乗れる便を取ったことが、まるで昨日のことのようにすら思えてくる。
飛行機から見た朝日がやけに眩しくて、ふっと気が緩んで……。その瞬間、零れた涙が止まらなくなり、私は人目も憚らずに新千歳空港に着くまで泣き続けた。
お客様の声でハッとした私は、すぐに笑顔を繕ってお酒を作った。
蓉子ママに大きな恩があるというのに、ぼんやりしているわけにはいかない。
「そういえば、ユキちゃんは東京出身だったよね。今度、東京出張があるんだけど、なにかお土産買ってこようか?」
東京と聞いて、胸の奥が小さく痛み出す。
「ありがとうございます。でも、お気持ちだけで充分です」
「ユキちゃんは欲がないなぁ」
「じゃあ、甘えてもいいですか? いっぱいお願いしちゃいますよ?」
疼く胸を隠すように明るく笑ったのに、蘇ってくるのは旺志さんと過ごした最後の夜のこと。
あのときの彼との情事は、あまりにも甘くて優しすぎた。
夜明け前、まだ眠る旺志さんの唇にキスを残して羽田空港へと向かい、最短で乗れる便を取ったことが、まるで昨日のことのようにすら思えてくる。
飛行機から見た朝日がやけに眩しくて、ふっと気が緩んで……。その瞬間、零れた涙が止まらなくなり、私は人目も憚らずに新千歳空港に着くまで泣き続けた。