甘く痺れる恋情~華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない~
秋の北海道は想像以上に寒くて、それが心細さを助長させてまた涙を誘った。
目的も行くあてもなかったため、残りわずかだった所持金で電車を乗り継ぎ、降り立ったのがこの街だったというだけ。
けれど、ここにたどりついたからこそ、蓉子ママに拾ってもらえたのだ。
「じゃあね、ユキちゃん。出張明けにまた来るよ」
「はい、お待ちしています。お気をつけて」
笑顔を見せ、頭をしっかりと下げてお客様を見送った。
ストールを羽織っていても体が凍てつきそうで、急いで店内に戻ろうと踵を返す。
「真白……?」
刹那、雪景色の中に私を呼ぶ声が落ちた。
反射的に振り返った私は、視界に移った光景に息が止まる。
驚愕の表情を浮かべながらも駆け寄ってくる男性の姿が、まるでスローモーションで再生されているようだった。
「真白!」
再び呼ばれて我に返り、咄嗟に店の方へと足を踏み出したけれど。
「待てっ!」
一瞬早く手首を掴まれ、そのまま彼の方へと体が引っ張られた。
目的も行くあてもなかったため、残りわずかだった所持金で電車を乗り継ぎ、降り立ったのがこの街だったというだけ。
けれど、ここにたどりついたからこそ、蓉子ママに拾ってもらえたのだ。
「じゃあね、ユキちゃん。出張明けにまた来るよ」
「はい、お待ちしています。お気をつけて」
笑顔を見せ、頭をしっかりと下げてお客様を見送った。
ストールを羽織っていても体が凍てつきそうで、急いで店内に戻ろうと踵を返す。
「真白……?」
刹那、雪景色の中に私を呼ぶ声が落ちた。
反射的に振り返った私は、視界に移った光景に息が止まる。
驚愕の表情を浮かべながらも駆け寄ってくる男性の姿が、まるでスローモーションで再生されているようだった。
「真白!」
再び呼ばれて我に返り、咄嗟に店の方へと足を踏み出したけれど。
「待てっ!」
一瞬早く手首を掴まれ、そのまま彼の方へと体が引っ張られた。