甘く痺れる恋情～華麗なる御曹司は愛しい運命をもう二度と手放さない～
正直、驚きと戸惑いで、どう返事をすればいいのかわからなかった。
どうして見ず知らずの私を雇ってくれようとしたのか理解に苦しんだし、信頼していいのかもわからなかった。
未知の世界だった夜のお店で働くことも、とても怖かった。


けれど、私は蓉子ママの優しい眼差しに惹かれるように頷いていた。
ママは『雪みたいに儚い雰囲気だし、名前も真白だから』と、『ユキ』という源氏名をつけてくれた。


最初の三か月は、蓉子ママのお店で寝泊まりさせてもらった。
資金なんてほとんどなかった私は、まずは生きていくためのお金を貯めるところから始めなければならず、寝る場所があるだけでありがたかった。


そして、三か月後にようやく借りられたのは、ワンルームアパート。保証人になってくれたママに心配されるほど古くて狭くて、室内はとても寒かった。
ストーブを使っても体が温まらなくて、春までに何度体調を崩したかわからない。


寒い部屋にひとりでいると心細くて、旺志さんのことが恋しくて仕方がなかった。
彼に抱きしめてもらいたくてたまらなくなった。


あの凍えそうだった日々を思えば、今の寒さなんてどうってことはない――。
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