充電したい
あっ、とか思ったときにはもう遅く、彼の唇が重なっている。
しかも、強引に私の唇をこじ開け、侵入してきた。

『はい、『エタンセル』です。
いつもお世話になっております』

三井(みつい)さーん、三番でーす』

一枚壁を隔てた向こうでは、みんないつもどおり仕事をしている。
なのに、私は。

「……ん、……んん」

密やかにふたりの空間に淫靡な吐息が満ちていく。

「……」

唇が離れ、課長を見上げる。

「充電、完了」

レンズ越しに目のあった彼は、ニヤリと右の口端を持ち上げた。

「なにが充電完了ですか!
いい加減会社でこんなことをするのはやめろとあれほど……!」

彼のネクタイをぐいっ、と掴んだら、降参だと手が上がる。

「だって、充電切れたら動けなくなるだろ」

「少し前のスマホか!?今日日のスマホ並みに保たせろ!」

いくら私が噛みついたところで、彼は全く堪えていない。
それがさらに、私をヒートアップさせる。

「えー、グラフィックの綺麗なソシャゲやったら、すぐに充電切れるだろうが」

「営業はソシャゲか!」

「うるさい。
そんなに言うなら……本格充電するぞ」

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