充電したい
『リアサちゃんが今日、初めてテレビに出るんだ!
これはリアルタイムで観ないとダメだよね!?
ね、神代さんだってわかるでしょ?
じゃ、あとよろしく!』

と、明日、必要な書類の資料を私の机に詰んで、帰っていくのはいい。
大西さんの推しである地下アイドル、リアサちゃんがテレビに出るとなれば一大事なのはわかるし。
しかしながら、ならばなぜ、前もって仕事を片付けておかなかった?
そこは課長も同じらしくて。

「大西は明日、きつーく言わないとな」

ふ、ふふふっ、とか笑っている課長はまるで悪魔のようで、あんなに不平を漏らしていた私でも大西さんの無事を祈ってしまった。

「コーヒーでも淹れますから、休憩しますか」

「そうだな」

こきこきと凝り固まっていたであろう肩を、課長が動かす。
集中しすぎてあたまもふらふら、一息つかないと効率も落ちそうだ。

真っ暗な廊下を、非常灯を頼りに進み、給湯室の電気をつける。
もう火は落としてあるので、電気ポットに水を入れてスイッチを入れた。

「課長じゃないけど、充電切れそう」

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