充電したい
鹿江(かのえ)商事』さんの過去実績をまとめてほしい、と大西さんから渡されたのは三年分の資料だった。
でも正確さを期すならば取り引きのはじまった五年前からの方がいいのでは?
なんてやりだしたので、自業自得ともいえなくもない。

「終電までには帰れるかなー」

カップにインスタントコーヒーの粉を入れ、ぼーっとお湯が沸くのを待つ。

「神代」

「あ、はい!」

不意に課長から声をかけられ、驚いた。

「悪いな、オマエにさせて」

「いえ、別……うわっ!?」

いきなり、ぱっと電気が消え、悲鳴が漏れる。
身を小さく縮こませたまま、辺りをうかがった。
電気ポットの電気も消えているところを見るに、蛍光灯が切れたわけではなさそうだ。

「停電、かな。
そういやさっき、雷が」

課長の声は冷静だけれど。

「……課長、そこにいますよね?」

そろりと壁伝いに動き、手探りで彼を探す。

「いるけど?」

指先が彼の手らしきものにあたり、少し迷ってそれを掴んだ。

「神代?」

「えっ、あっ」

「もしかして、暗いの怖いのか?」

瞬間、掴んでいた手が私を引き寄せた。

「これで怖くないか?」

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