晴れない空の恋心

わたし。

「あなたは天気の少女なのよ。」

そう言われたのが私の子供の頃だ。
ほんの子供の、誰もが可愛かった7歳ぐらい。

今はもういないお母さんの夢を見たのはいつぶりだろう。

お母さんが死ぬ前に言われたあの言葉。それが今頃夢で出てくるなんて、思いもしなかった。

「この事実を他の人に知られちゃダメよ。」

お母さんは苦しそうに言った。

「知られたら大変なことになる…」

とも。そして、もう一言。

「 ____________ 」

消えちゃいそうな声で、でも微笑みを残して何かを言った。

子供の頃の話だからよく覚えていないけど。でもお母さんの夢を見なかったら、思い出してすらなかった。

その時はよくわからなかったけど、今はなんとなくわかる。
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