晴れない空の恋心
「紗奈。」

聞き覚えのある声が聞こえる。

「二葉くん…。」

「待たせた?」

「ううん。平気。」

「…寒そう、これ着て?」

と言って私に暖かそうな上着を渡した。

「、大丈夫。」

失礼だと思った。上着だけ着させてもらって、振るなんて。

あいつみたいに、二葉くんを都合のいいように使ってるみたいで、すごく嫌だった。

二葉くんが切なそうな顔をする。こんな切なそうな顔をさせているのは私なのに、不思議と何も思わなかった。
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