晴れない空の恋心
ダメだと思った。優しく返事して、期待させちゃったら、二葉くんがもっと辛い思いをするんじゃないかなって。

「…ん、ありがとうな。」

「ううん…」 

「幸せになって。」

「…うん、ありがとう。」

「んじゃ俺そろそろ行くわ。」

「…うん、気をつけてね。」

二葉くんが帰るのを見送って、私も帰る準備をする。

とぼとぼと歩く。これでよかったのだろうか。よかったんだ。

ほんの5分程度話しただけだけど、すごく長く感じた。家に着く頃に、ふと空を見る。

まだ霧雨が降っている。涙は止まったのに…。
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