Dr.luce
「わかりました!患者さんはどのような方で、どんな症状で来るんですか?」

『患者は十歳の女の子。階段から転げ落ちて、頭を強く打ってしまったと聞いているよ』

「頭を……。なるほど。すぐに救急科に戻ります!」

PHSをルーチェが切ると、アーサーとティムもPHSを切ったところだった。三人の顔は先程の穏やかなものではなく、真剣な医師のものに変わっている。

「行こう!」

ルーチェはそう言い、休憩室から救急科へと向かって走る。アーサーとティムも続いた。

頭を強く打ったということは、意識があるかどうかわからない。仮に意識があったとしても、時間が経つと脳に血栓が詰まってしまう可能性もある。

ドクドクと心臓の鼓動が早まるのを感じながら、ルーチェたちは救急科の自動ドアを通った。



ルーチェたちが救急科に戻ってすぐ、三台の救急車が病院に到着し、患者がストレッチャーに乗せられて運ばれて来る。

ルーチェはクラルと共に女の子の乗ったストレッチャーに駆け寄る。ストレッチャーに乗せられた金髪碧眼の女の子は、意識はあるようで天井を固い表情で見つめていた。
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