Dr.luce
「四月一日先生……」

一花の顔はどこか険しく、受け答えはできているものの、何か重大な怪我を見落としてしまっているのかとルーチェは不安になっていく。

「ルーチェ先生、四月一日先生と向こうで話そう」

クラルに肩を軽く叩かれ、ルーチェは「はい」と頷く。ジェニファーたちに席を外すことを伝え、彼女たちから死角になる位置まで三人は移動した。

「あの家族、どう思う?」

一花は唐突にそう切り出した。怪我の状態ではなくそのようなことを聞かれ、ルーチェは「えっ?」と聞き返してしまう。

「何かおかしくない?あの家族」

一花が真剣な顔で言い、クラルは顎に手を当てながら「確かにおかしいね」と一花同様真剣な顔で言った。

「ジェニファーさんは十歳で、自分がどのように怪我をしたのかを説明できる歳のはずだ。それなのに、あの二人はジェニファーさんに受け答えさせたくないみたいだったね」

ルーチェは違和感の正体を知り、「あっ……!」と呟く。しかし、それと同時に疑問が生まれた。
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