Dr.luce
「先生が使っていたみたいですね。ジェニファーさん、中へどうぞ」

ルーチェがそう促すと、アルオチがトイレのドアを開け、ジェニファーが個室の中に入ろうとする。すると何故か母親までもが中に入ろうとしたため、ルーチェは「えっ!?」と思わず声を出してしまう。

「ちょっと、何をしてるんですか!?」

「何って、一緒にトイレに入るんですけど?何か問題でも?」

母親は「何か問題でも?」と言いたげな顔だ。その隣でジェニファーは顔を俯かせている。これはまずいとルーチェは拳を握り締め、必死に言葉を探す。

「ジェニファーさんは十歳です。一人でトイレのできる歳ですよね?何故お母様が一緒に入る必要があるんですか?」

「この子がトイレの中で倒れたらどうするんですか?」

「その時は僕たちが助けます!」

「そんなの信用できない!」

トイレの前で言い合いになってしまい、その声はどんどん大きくなっていく。その時だった。

「もう我慢できないから!!」
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