Dr.luce

ジェニファーが大きな声を上げた。そして個室の中に入ろうとする母親の肩を押し、ドアを閉めてしまった。カチャリと鍵がかけられる音が小さく聞こえる。

「ジェニファー！ジェニファー！」

母親がドアを乱暴に叩く。それをアルオチとルーチェの二人で「落ち着いてください」と言いながら引き剥がす。

「お母さん、あちらでお待ちください」

アルオチがトイレとは反対方向に母親を連れて行った。その直後、ルーチェの元に一花が姿を見せた。その顔は真剣そのものだった。

「うまくいくといいんですけど……」

「大丈夫よ。絶対にうまくいくわ」

不安そうなルーチェの隣で、一花が言う。その時トイレのドアが開き、ジェニファーが出て来た。



MRIの台の上、ジェニファーは不安そうな顔で寝転び、体を緩く固定される。MRIがゆっくりと動き出し、検査が始まった。

「ジェニファー……」

父親と母親が心配そうな顔をしながらMRIを受けるジェニファーを見ている。そう、このワンシーンだけを見ればただの親子だ。