Dr.luce
(す、すごい……)

ただ心の中でそう呟く。すると、男が「このクソ女!」と言いながら一花に向かって走り出した。大きく拳を振り上げている。男と一花はかなりの体格差があり、ルーチェは「先生!」と思わず声を出してしまう。しかし、その心配は無用だった。

一花は男の拳を軽々と避け、彼の腹に膝蹴りを喰らわせる。男の動きが止まったところで首に手刀を入れ、制圧はあっという間に終わってしまった。

「さすがeagle!素晴らしい動きだったよ!」

クラルが拍手をしながら一花を見つめる。一花は照れ臭そうにしながら、「二人とも怪我はない?」と訊ねた。ルーチェは首を縦に振りつつ、「eagleに所属してたんですね」と呟いた。

eagleは危険な戦場や災害地に駆け付け、治療にあたる医療グループだ。治安が悪い場所に行くため、メンバー全員が武術を心得ている。

「先生方、もうすぐ警察が到着するみたいだよ」

オリバーが受話器を手にしながら話しかけてきた。それを聞いて、ルーチェたちは安堵の表情を浮かべる。大きな犯罪を未然に防ぐことができたのだ。
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