Dr.luce
「いいか、お前ら。救急はめちゃくちゃ体力勝負だ。肉いっぱい食って研修に挑めよ。あと、めちゃくちゃ可愛い女医がいるんだが、その女医に手を出したら殺しに行くからな」

「えっ?ヨハン先生急にどうしたんだよ?」

女医の話をした途端、ヨハンの顔はまるでギャングかと思うほどの恐ろしい形相になった。その豹変っぷりにアーサーが顔を青くしながら訊ね、ルーチェとティムはヨハンと目を合わせないようにしながら「ワカリマシタ」と消えてしまいそうな声で呟く。

(救急か……。一体、どんなことをするんだろう)

各科のことは医大で学んだとはいえ、机に向かってただ教科書を捲るのと、実際の現場は全く違う。

緊張、そして恐怖を感じながらルーチェたちはカンファレンス室を後にした。



小児科での研修が終わった翌週、ルーチェとアーサー、そしてティムは緊張を覚えながら廊下を歩く。時計の針は午後六時を指したばかり。これから、救急科での研修が始まる。

「緊張するね……」
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