Dr.luce

ティムの言葉に、アーサーが「ああ」と言いながら頷く。普段明るく笑顔の絶えないアーサーだが、その顔はどこか強張っていた。

「救急か……」

ルーチェは医大で学んだことを思い出す。救急はとても忙しいことで学生の間でも有名であり、「救急科には絶対行きたくない！」と話す学生も多かった。

「救急車で来る人をきちんと診れるかな……」

「きっと重症の人だろ？きちんとできるか自信がないな……」

ティムとアーサーが不安そうな声で言う。ルーチェはそんな二人に対し、「大丈夫だよ」と心の内側に不安があったものの、笑みを浮かべながら言う。

「僕たちだけで治療にあたるわけじゃない。救急科のベテランの先生たちもいるから、そこまで不安がる必要はないよ」

「そうだね！」

ティムがニコリと笑い、アーサーの顔からも緊張が薄れていく。二人の緊張を解すことには成功したようだ。そのことにルーチェはホッとしつつ、廊下を歩いて行く。