カフェオレでも飲みながら。
緊張
「じゃあ、明後日4時にバス停ね。」
私と伊織は一番大きい図書館へ出かける約束をしていた。
それでなくても引っ越してきてから、伊織は案内して、と場所を見つける度に私に言う。
だからしょっちゅう、一緒にでかけている。
園香の事があってから、私は複雑な気持ちになっていた。
恋愛がいま大事だとは思えないけど、大事にしている同級生も居る。
なんにも考えていない自分は変なのかもしれない。
恋愛は、自分は何をやっていいか分からないぞ、と私は思った。
部屋で突然、ふと、伊織と園香が話している想像をした。
酷く面倒くさい想像だった。
その後、それは、また一緒に出かけたでしょうと怒る園香の想像になった。
そっちの方がもっと、面倒くさそうだった。
想像は止まず、今度はまた寝坊してたでしょと親でもないのに自分を叱る伊織の想像になった。
考えすぎで頭がおかしくなってるみたいだった。
次の日の朝、私は伊織を待たずに学校に行った。
伊織が転校してきて以来初めてだった。
なんだかさっぱりした気分になった。
朝のホームルーム前、遅れてきた伊織がカバンを置くと私に言った。
「朝田さんひどい。なんで先に行くの?」
「うん、」
うまく説明できなかった。
「僕待ってたのに。家行ったよ。いきなり何。」
「うーん、だって、…ごめん。」
伊織と話さなければ、恋愛絡みで頭が痛くなることはない。
恋愛だとして伊織を考えると、全く先が読めず不安になった。
他のことを考えるには、伊織と居るのが日常過ぎる。
噂では言われるが、伊織と私はまだ付き合ってない。
ドキドキするよりは緊張した。
その日、私は伊織と一緒に帰らなかった。
次の日の朝も伊織の家の前を素通りした。